OLYMPUS OM-1

今日はオリンパスOM-1のフィルムカメラ修理をご紹介します。

上の写真は修理、整備後のOM-1の写真です。

修理内容

こちらのOM-1は1990年代に使用し、その後、20年ほど触っていないとのことで、清掃、整備、修理を依頼されました。

カメラを拝見すると、外観は保管状態が悪かったためなのか、容易には落ちそうにない汚れがこびり付き、セルタイマーの化粧カバーは無く、モルトや塗装の劣化も激しく、所々、塗装がはがれ落ちています。ファインダー内も汚れが目立ち、プリズムは腐食しています。

上部から

フィルム室
フィルム室内もモルトのカスで汚れています。

動作を確認してみると、巻き上げレバーの動きが悪く、シャッターは切れますが、速度を測定してみると、狂いが生じております。露出計は電池室内の金属板とリード線をつなぐ半田が腐食しており、電池を入れても、全く動作しません。

電池室
茶色のリード線と金属板をつなぐ、半田の部分が腐食(緑青)しています。

トップカバーを開けて、茶色のリード線が来ている部分を見てみます。

トップカバーを外したところ

プリズムの状態
プリズムを覆っているモルトが加水分解して、プリズムが腐食しています。

茶色のリード線部分
緑青が出てきています。

テスターを使って茶色のリード線が導通しているか、確認したところ、やはり通電していません。

リード線の中の線が腐食している場合は、前板を外して、腐食したリード線を取り除き、腐食していないリード線に引き直す必要があります。

カメラ分解

レンズ分解

不具合と修理

◆OLYMPUS OM-1
・シャッター速度の狂い
⇒ カメラを分解して、清掃と注油を行い、測定器を使って、シャッターの速度調整を行いました。

・露出計が動作しない
⇒ 電池室に腐食が見られましたので、電池室の清掃と半田の付け直し、および、配線も腐食していたため、配線の引き直しを行いました。
  通電後、露出計の動作を確認しましたが、露出計には問題はなかったため、部品交換は行わず、測定器を使って調整を行いました。

・プリズム腐食
⇒ プリズムの交換を行いました。

・セルフタイマーのスタートレバーの化粧カバーが欠品
⇒ 交換部品を用意して、取り付けしました。

・巻き上げ不良
⇒ 巻き上げレバーの操作時に、一回の巻き上げでは、巻き上げが出来ないことが時々ありました。
  巻き上げ軸のギアがすり減って、スリップしている様子でしたので、巻き上げ軸の部品交換を行いました。

◆OLUMPUS F.ZUIKO AUTO-S 50mm f1.8
・カビとクモリ、コバ落ち(レンズ内の塗装はがれ)
⇒ レンズの分解清掃を行いましたが、清掃では取れないクモリが少し残りましたが、ほぼ撮影には影響は無いと思われます。
  コバ落ちは、分解ができない(かしめてある)ユニットレンズだったため、コバ塗りはできませんでした。

・グリス抜け
⇒ ピント環を回すと、グリスが抜けていたため、グリスアップを行いました。

追記

今回は、色々と状態が悪いOM-1で、修理に時間が掛かりましたが、通常の撮影に問題のないレベルまで修理することができました。

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