OLYMPUS OM-1
前回に続いてオリンパス OM-1のカメラ修理を紹介していきます。
これまでのカメラの修理状況
こちらのOM-1の主な不具合について
1.巻き上げレバーが空回り(スカスカ・ブラブラ)の状態で巻き上げができない→ カメラ底部から強制レリーズすることで、巻き上げレバーの不具合は解消されました。
2.シャッターが切れない
→ 巻き上げレバーの不具合が解消されたことにより、シャッターは切れましたが、測定器で計測するとシャッター速度がかなり遅いことが判明しました。シャッター速度を変える際のギアとスローガバナーのギアの噛み合わせの位置がかなりズレており、おそらく、以前修理された方が分解して、ミラーボックスを組み込む際に間違って組み込んだものと思われます。
また、シャッターに関して前回書き忘れがありました。
シャッターのバルブ状態の動作もおかしい様子です。説明をすると、シャッターダイヤルをバルブに合わせてレリーズし、シャッターボタンから指を離した後、スローガバナーが動作してしまい、しばらくしてからシャッターが閉じます。こちらは、スローガバナーの取り付け位置などが影響していると思われます。3.プリズムの腐食
→ トップカバーを取り外し、プリズムを取り外しました。
4.露出計は動作しているが、適正な値ではない
→ おそらく、シャッター速度の位置がズレているために適正な値が出ないものと思われます。
では、順を追って、修理を行っていきます。
今回は、ミラーボックスを外して、スローガバナーを取り出し、洗浄、再組み込みを行います。
通常であれば、スローガバナーは動作に問題がなければ取り出しませんが、今回はバルブ状態の動作がおかしいと思われるため、一度、取り出して、洗浄・注油してから、再度組み込む予定です。ミラーボックスを外す
スローガバナーを外すにはミラーボックスを外す必要があります。
まずは、スクリーンを外します。ミラーの上に突起(写真の赤枠部分)を手前に引くとスクリーンが取り外せます。
スクリーンは下に落ちてきますので、ピンセットで写真にある部分をつまんで取り出します。
セルフタイマーを取り外します。
ゴムで外した方がきれいに外せますが、外し難い場合はカニ目を使います。
取り外したセルフタイマー
セルフタイマーの下の枠も取っておきます。
セルフタイマーを外した状態
張り革を剥がした状態
張り革は無水エタノールなどを使って剥がします。
ネジを外していきます。
正面左側に2本((赤丸部分)
正面右側に2本(赤丸部分)
トップに2本(赤丸部分)
底面の白いリード線を外すため、はんだ(赤丸部分)を取ります。
トップの茶色のリードを外すため、はんだ(赤丸部分)を取ります。
巻き戻し軸のネジ(赤丸ぶぶん)を1本外します。
ここまでで、ミラーボックスが外せるようになりますが、ミラーボックス内に赤いリード線を繋がっているのでこのはんだを取ります。
ミラーボックスを手前に引くと赤いリード線が見えますので、このはんだ(赤丸部分)を取ります。
ミラーボックスは無理に取り外すとスローガバナーやリード線が切れる場合がありますので、ゆっくりと外していきます。ここまでの状態
次はスローガバナーを外します。
写真を撮り忘れたので文章で説明します。
スローガバナーは2つのネジで固定されています。薄い金属板も付いているので、慎重に取り外す必要があります。スローガバナーを取り外したら、ベンジンやシンナーなどで洗浄を行います。
スローガバナーの洗浄後は、注油をしてボディに再度組み込み、ミラーボックスも組み込みます。
スローガバナーは巻き上げを行ってから組込みを行う必要があります。巻き上げを行わないで組み込もうとするとうまく組み込めません。ミラーボックスを組み込む際に1点注意することがあります。写真の赤枠分にある金色のネジの上にレリーズした際に引っ掛かるレバーがあり、ミラーボックスを組み込む際は、このレバーを金色のネジの上に乗せるような形で組み込みます。
また、ミラーボックスは、最初の回で説明した通り、シャッター速度を1/1000秒にセットし、写真にある歯車の赤丸部分を手前にしてから組込みます。
ミラーボックスを組み込んだ状態
歯車の穴の位置(写真赤丸部分)に注意ひとまず、シャッター速度を測定してみます。
1/1000秒を測定
許容範囲内の速度が出ています。1秒を測定
許容範囲内の速度が出ています。スローガバナーを洗浄、注油して再組み込みすることで、シャッター速度も許容範囲内で切れるようになり、また、問題だったバルブのシャッター動作も問題なく切れるようになりました。
後はプリズムの交換と露出計の確認、組み立てを行い完了です。