OLYMPUS M-1 フィルムカメラ修理

製品発売直後、ライツ社からのクレームにより、「M-1」の名称は約2か月で「OM-1」に変更されました。M-1の刻印は、初期ロット約5,000台にのみ打たれているとのことです。

仕様
形式 35ミリフォーカルプレーンシャッター式一眼レフ
フィルムサイズ24mmx36mm(35ミリサイズ)
マウントオリンパスMマウント バヨネット交換式(回転角70°)
フランンジバック46mm
シャッターフォーカルプレーンシャッター
マウントダイヤル式
B・1~1/1000秒 シンクロ速度1/60秒
シンクロFP・X接点切換式
ファインダーペンタプリズム式広視野ファインダー
視野率 約97%(対実画面) 倍率 0.92倍(50mm/距離∞)
視野角 短辺23°30’ 長辺35°
露出計測光表示付
フォーカシシグスクリーン交換可能
ミラー 大型クイックリターンミラー ミラーアップ可能
フィルム装填イージー・ローディング
フィルム巻上レバー式 小きざみ巻上可能 巻上角150° 予備引出角30°
セルフコッキング 二重巻上防止・二重露出防止付
フィルムコマ数計順算式 自動復元
フィルム巻戻しクランク式 巻戻しクラッチセット式 自動復元
露出計TTL(CdSx2個使用)
開放測光式中央重点平均測光 定点合致式
ファインダー内定点合わせ式 露出計ON・OFFスイッチ付
測光範囲F1.4でASA100のときEV2~17
電源水銀電池 MR9(H-D)型 1.35V 1個使用
フィルム感度目盛ASA25~1600 ロックボタン付
裏蓋開閉交換式(裏蓋は取り外せて交換可能) 標準裏蓋は蝶番式
交換可能アクセサリ
レコーデー夕バック1

250フィルムバック1
アクセサリーシュー専用ユニット着脱式
コードレス接点付
アクセサリーシュー1
大きさ幅136mm x 高さ83mm x 奥行50mm
重量490g
発売開始年月1972年(昭和47年)7月
発売終了年月1973年(昭和48年)5月
発売時価格39,500円
修理内容
OLYMPUS M-1 フィルムカメラ修理

こちらのオリンパスM-1は、オーバーホールのご依頼です。
カメラをお預かりし、点検した結果は下記の通りでした。

シャッター速度

シャッター速度は、測定器を使って測りました。
数値的には、全速、許容範囲内の速度に収まっており、通常の撮影には問題は無いと判断します。
ただし、細かく見ると、全体的にやや速度は速めなので、微調整を行いました。

露出計

露出計は適正露出よりも、2/3段程度[+]側を針が指しています。
露出計に合わせて撮影した場合、ズレた分のアンダー露出になります。

露出計については、測定器を使って、適正露出になるよう調整を行いました。

ASA感度ダイヤル

OLYMPUS M-1 フィルムカメラ修理
ASA感度ダイヤル動作不良

ASA感度ダイヤルを少し回したところ、露出計が動作しなくなり、あわせてダイヤルの動きが固くなったため、一旦、ダイヤル操作を止めました。

ASAダイヤルの動作不良の原因を調査するため、カメラを分解したところ、こちらのカメラは、過去に修理が行われていることがすぐにわかりました。

動作不良の原因は、カメラ内部のダイヤルとASA感度を設定するツメの噛み合わせ不良によるもので、おそらく、過去の修理の際にこのツメの突起部分を押し込んでしまい、ツメが本来あるべき高さよりも低い位置となってしまったため、ダイヤルとツメがうまく噛み合わない状態のまま、トップカバーを組み戻してしまい、その結果、ASAダイヤルの動作不良につながったものと思われます。

おそらく修理直後は、ASAダイヤルは動作していたと思いますが、ツメの状態が悪く不完全な状態で噛み合っていたため、ASAダイヤルの操作を行っているうちに、ズレてしまったものと思われます。

修理を行なうことで、ASAダイヤルは正常に機能するようになりました。

ファインダー

OLYMPUS M-1 フィルムカメラ修理

ファインダー部分を見てみると、プリズムは、過去に部品交換が行われている様子でしたが、その修理方法にいくつか問題点が見られました。

問題点の1つめは、プリズムカバー、2つめにプリズムを固定する金具、3つめにプリズムと接眼レンズ間の遮光の問題です。

プリズムカバーについては、オリジナルのプリズムカバーが装着されていますが、カバーにヒビが入っていましたが、割れてはいませんでした。

このプリズムカバーとプリズムを固定するための金具については、おそらくOM-1の中期~後期型の金具に交換がされていました。

問題点は、この金具がプリズムカバーをしっかりと固定できていない点と、金具がプリズムに直接、接触して固定されている点です。

プリズム固定用の金具をプリズムカバーを介さずに、プリズムを固定してしまうと、金具のテンションによってプリズムが欠けてしまうこともあるため、基本的には、このプリズムカバーに合った、元々の金具を利用するか、OM-1後期型の金具に変更する場合は、それに合わせたプリズムカバーに変更する必要があります。

今回の修理では、プリズムカバーに、ヒビ割れが見られましたので、プリズムカバーの交換を行いました。交換したプリズムカバーは、接眼部分まで遮光するタイプのものなので、接眼レンズとプリズムの間にモルトを被せる必要はありません。

接眼レンズについては、カビが見られましたので、接眼レンズを接眼レンズ枠から取り出し、カビの清掃を行いました。清掃後、カビはほぼ除去出来ました。

プリズムは腐食が見られたため、プリズムの部品交換を行っています。

主な修理箇所

・シャッター速度調整
・シャッター幕軸注油
・スローガバナー注油
・ASAダイヤル動作不良修理
・露出計精度調整
・プリズム部品交換(腐食の為)
・プリズム保護遮光カバー部品交換
・劣化モルト交換
・貼り革貼り直し
・ファインダー清掃
・フィルム室清掃
・外装清掃
・各部点検

この修理レビューの目的は、修理をご依頼していただいたお客様に向けての修理内容のご紹介となっております。
こちらの修理ブログを見て、お問い合わせいただいたお客様の同一機種のカメラの修理をお約束するものではありませんので、あらかじめご了承ください。