Nikon F2

3回に分けて紹介してきたNikon F2 フィルムカメラ修理の最終回です。

今回の内容は、具体的な修理箇所についてご紹介させていただきます。

修理箇所紹介

シャッター残響音

シャッターを切った後、「キィーン」という甲高い残響音が残るのは、新品当時のF2を知っている方からすると、とても違和感を覚えることと思います。

この残響音の原因は、リターンミラーが戻るときのダンパー部分に組み込まれたスプリングの音です。

通常、このスプリング部分は、ミラーボックス内の赤丸で示した箇所にモルトプレーンが貼られて、静音化されています。

しかし、モルトプレーンが劣化してしまうと、スプリングの残響音が響き、シャッターを切った後、「キィーン」という甲高い残響音が残ります。

購入当時のように、消音するには、写真にある通り、この劣化したモルトプレーンを貼り直します。

露出計動作不良

露出計の動作不良の原因のひとつは、電池室の破損です。

Nikon F2の場合、長期間、電池を入れたままカメラを保管していると、電池室の金具を留めているプラパーツ部分に負荷がかかり、経年劣化で電池室のプラパーツがひび割れたり、割れたりします。

その結果、電池が通電せず、露出計が動作しないことがあります。

破損した電池室のプラパーツは加工を行って、再利用します。

Nikon F2 電池室プラパーツ
左側が折れてしまった電池室のプラパーツで、右側が破損が無い電池室のプラパーツ

シャッター幕

シャッター幕の動きが悪い場合、幕軸に注油を行います。

セルフタイマー

セルフタイマー動きが悪い場合は、各々のギアの軸に注油をします。

スローシャッター

スローシャッターの動きが悪い場合は、スローガバナーと呼ばれるスローシャッターを作り出すギアに注油を行います。

文字盤

文字盤が擦れて見にくい場合は墨入れを行います。
写真では、「L」の文字が擦れて見にくくなっています。

墨入れ後

以上で、Nikon F2のフィルムカメラ修理の紹介は終了です。

第1回目の内容はコチラ
Nikon F2 フィルムカメラ修理 その1

第3回目の内容はコチラ
Nikon F2 フィルムカメラ修理 その3

こちらの記事の目的は、修理をご依頼していただいたお客様に向けての修理内容のご紹介となっており、お客様ご自身での修理を推奨するものではありません。
また、こちらの記事を見て、お問い合わせいただいたお客様の同一機種のカメラ修理をお約束するものではありませんので、あらかじめご了承ください。