PENTAX S3 + Auto-Takumar 55mm f1.8


今日はペンタックスS3とAuto-Takumar 55m f1.8のフィルムカメラ修理をご紹介します。

主な仕様
形式:35mmフィルム一眼レフカメラ
シャッター制御:機械式
シャッター速度:T,B,1-1/1000秒
シャッター機構:横走り布幕フォーカルプレーンシャッター
露出計:なし
マウント:M42マウント

S3は1961年(昭和36年)4月に発売されました。

S3は対応レンズを使うことで、絞りが「完全自動絞り」に対応するのが特長です。
完全自動絞りとは、シャッター切った時だけ絞り込まれる仕組みのことですが、タクマーには「半自動絞り」というものもあります。後述します。

ちなみに、完全自動絞りを初めて実現したカメラは、ズノー光学工業のズノーペンタフレックスでした。

露出計
露出計は外光式露出計がオプションで用意されていました。

シャッターダイヤルの設定に連動し『ペンタックスメーター』と呼ばれていました。

以前修理した、別のS3の写真ですが、ペンタックスメーターを取り付けた状態のものです。

当時は、露出計なんていらないという風潮もあったようですが、頭でっかちではありますが、今見ても、なかなか斬新なスタイルでカッコいいのではないでしょうか。

修理概要

PENTX S3

・シャッター不調整備
・スローガバナー清掃、注油
・シャッター速度確認、調整
・劣化モルト交換
・各部必要箇所への注油
・フィルム室内清掃
・外装及び内部のカビ、汚れ清掃
・ファインダースクリーンの分解清掃

Auto-Takumar 55mm f1.8

・絞り羽根の開閉不良
・レンズ清掃

修理内容

PENTX S3

こちらのS3は動作はしますが、シャッターが不調で、かなりシャッター速度が遅いです。
シャッターについては、ミラーボックス下にスローガバナーがあるので、そちらを清掃し、注油を行います。

トップカバーを外します。
巻き戻しクランク、シャッターダイヤル、巻き上げレバー部分を外すとトップカバーを外せます。

ミラーボックスを外します。

スローガバナー
このスローガバナーを清掃、注油します。

巻き上げレバーについて
巻き上げレバー部分にはフィルムカウンターが付いていますが、裏蓋を開けると自動的に復帰するものではなく、手動でダイヤルを回して、カウンターをセットします。

トップカバーを外した後、巻き上げレバー部分を修理しない場合、一度、仮組み込みしておかないと、ゼンマイが飛び出してきて危ないため、注意が必要です。

今回は、巻き上げると、鳴きが出ていたので、レバー部分を分解しました。
ゼンマイ部分は弾けて飛ぶと、怪我をすることがあるので、慎重に外します。

Auto-Takumar 55mm f1.8

こちらのレンズですが、状態としては、絞り羽根の開閉がゆっくりで、特にシャッターを切った後の絞り羽根の開きがかなり遅い状態です。

分解して清掃、調整します。

Auto-Takumar 55mm f1.8ですが、一般的に中古で出回っているのは、「半自動絞り」の物が多いのですが、こちらのレンズは、「完全自動絞り」に対応した後期の最終型のものです。

通常、「完全自動絞り」に対応しているレンズは「Super-Takumar」以降ですが、今回のレンズのように、「Auto-Takuar」でも「完全自動絞り」に対応しているレンズが一部あり、少し珍しいレンズです。

この「Auto-Takumar 55mm f1.8」は、「Super-Takumar」同様、レンズにある絞りの自動と手動切替スイッチが付いています。

ちなみに「半自動絞り」の場合、撮影前に手動で絞りを開放にセットすることで、撮影時には自動で絞りが絞り込まれる仕組みです。

「完全自動絞り」の場合は、そのような操作は必要ないので、「半自動絞り」は少し操作が面倒です。

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