PENTAX MG

PENTAX MG フィルムカメラ修理

今日はペンタックスMGのフィルムカメラ修理をご紹介します。

ペンタックスMGは、絞り優先AE搭載、Mシリーズ最後のモデルです。
1982年に発売され、ボディのみ、シルバーは40,000円、ブラックは42,000円でした。

修理内容

PENTAX MG 分解中
分解中

こちらのペンタックスMGは、下記のような症状で修理依頼がありました。

・最初の数回巻き上げてもシャッターが切れないことがある
・シャッターが切れない状態でも、巻き上げは可能
・一度シャッタが切れるようになるとその後は調子よく切れる
・ミラーが当たるモルトや裏蓋のモルトがボロボロ
・モルト片がプリズムの中に入り込んでしまっている

シャッター不良

シャッターが切れない原因は、ミラーボックス内にある、シャッター静音用のダンパーゴムの劣化により、ゴムが付いている可動箇所が粘って動きが悪くなっているためです。

一時的にシャッタが切れるようになっても、ゴムは劣化して粘ったままなので、結局、ミラーアップしたり、ミラー動作が緩慢になったりしてしまいますので、修理が必要となります。

PENTAX MG ミラーボックス
ミラーボックス(赤丸が劣化したゴムダンパー)

また、ミラーボックスの一部に錆が見られますが、この錆はシャッター不良の原因とは、関係がありません。

この箇所は、遮光用モルトが貼られている箇所で、経年劣化でモルトが加水分解して、錆てしまっています。

こうした劣化したモルトは、ファインダー内に入り込んでしまうことがあります。

PENTAX MG ミラーボックス
矢印の先にある劣化したゴムダンパーがシャッター不良を起こす元凶

下記写真は、ミラーボックスの劣化したダンパーゴムを除去、清掃し、新しいゴムに交換を行ったものです。

ミラーボックスの錆も落として見えないところもキレイにしています。

PENTAX MG ミラーボックス
ゴムダンパー交換後

下記写真にも交換したゴムが写っています。

PENTAX MG ミラーボックス
こちらも新しいゴムダンパーに交換

ミラーボックスのダンパーゴム交換後は、シャッターは正常に切れるようになりました。

モルトについて

ペンタックスMGは、カメラ内部にモルトを多用しています。

ファインダー内にモルト片が入り込んでゴミとなって見えたり、フィルム面にモルト片が付着してフィルムに写りこんだりする可能性があるため、ミラーボックスは取り出して、劣化したモルトは除去し、その後モルト片が残らないよう、しっかり清掃をして、新しいモルトに貼り替えます。

PENTAX MG モルト交換
エプロン周りもしっかりとモルト貼り替え
PENTAX MG モルト交換
シャッターユニットの周辺もモルト貼り替え

主な修理内容は下記の通りです。

・シャッター不良修理
・プリズム部品交換
・ミラーボックス静音ゴムダンパー交換
・ミラーボックス錆除去
・露出計精度調整
・機械式シャッター(1/100秒)速度点検、調整
・電子式シャッター(AUTO)点検、調整
・レンズ脱着調整(レンズマウント清掃)
・セルフタイマー注油
・ファインダー分解清掃
(アイピース、プリズム、スクリーン、リターンミラー)
・劣化モルト交換(フィルム室、リターン緩衝用)
・フィルム室清掃
・外観清掃

アイピース枠について

ペンタックスMGのアイピースについてですが、多くのMGでアイピース枠が割れているのを見かけます。

このアイピース枠はプラスチック製ですが、MGのアイピース枠は、上下方向に強いテンションが掛かるため、プラスチックの経年劣化も相まって割れてしまうこと多いようです。

PENTAX MG アイピース枠
赤枠のネジが接眼レンズを固定していますが、このネジがアイピース枠を割る原因と思われます

今回修理したMGのアイピース枠は、割れがありませんでしたが、このアイピースが割れてしまうと、カメラのトップカバーを分解した際、割れた状態から、組み戻すことが困難なため、割れていないアイピース枠に部品交換する必要があります。

しかし、新品の交換部品は無く、また、中古品から割れていないアイピース枠を探すのも難しいのが現状です。

MGのアイピース枠の割れについては、部品があれば、修理を承りますが、部品が無い場合は、修理をお断りせざる得ない場合もありますので、あらかじめご了承ください。

PENTAX MG
組み戻し前
この修理ブログの目的は、修理をご依頼していただいたお客様に向けての修理内容のご紹介となっております。
こちらの修理ブログを見て、お問い合わせいただいたお客様の同一機種のカメラの修理をお約束するものではありませんので、あらかじめご了承ください。