PENTAX ME super

平成の時代も終わりに近づきましたが、今日は昭和54年生まれのペンタックスME superのフィルムカメラ修理をご紹介します。

ペンタックスME superは、MEの後継機として1979年(昭和54年)に発売されたカメラです。

MEとのもっと大きな違いはマニュアル操作ができるという点と1/2000秒のシャッターが切れる点です。
当時、1/2000秒のシャッターが切れるのはとても魅力的に見えました。

ペンタックスのMシリーズの発売年は以下のようになります。

1976年 MX
1976年 ME
1979年 MV1
1979年 ME SUPER <<< ココ!!
1981年 ME F
1982年 MG

修理内容

こちらのME superですが、お客様のお話では、現在使用していて、大きな不調などは感じていないとのことですが、現像に出すと、数枚程度、露光不足のような写りになっている時があるとのことです。

ME superでよくある不具合

・ミラーアップ問題
 ミラーボックスのゴムダンパー部分の粘りにより、ミラーがアップしたままになる。
 ミラーボックスの問題で巻き上げが空回りしたりなど、シャッターチャージ不良になることもあります。

・シャッターユニットの不具合
 シャッターユニットの羽根にゴミや汚れが付着してシャッター速度が出ないなどの不具合が出る。

・電子基板の不具合
 電子基板が故障して動作が不良になる。

カメラの状態を知るため、シャッター速度を測定したところ、どうやら1/250~1/2000秒まで、多少前後はありますが、ほぼ1/1000秒くらいで切れてしまっているようです。

露出計も見てみましたが、表示に少しズレはあるものの、動作はしていました。

今回はミラーアップの問題は起きていない様子ですので、シャッターユニットの不具合か電子基板の不良が考えられます。

では、修理を行なっていきます。
カメラの分解を行い、シャッターユニット清掃やミラーボックスのゴム交換などを行っていきます。

トップカバーを開けた状態
電子基板はプリズムの上を覆うように配置されています。

分解した状態
ミラーボックスを外し、シャッターユニットを取り出した状態です。

電子基板
接眼レンズは清掃のため、外します。

ミラーボックスの側面
赤丸部分にゴムが使われています。
今回は粘りはなく、ゴムが硬化していました。
ゴムに触れると、ゴムがもろくなっており、ポロポロとゴムが落ちるような状態です。
こちらはゴムは交換を行います。

ミラーボックスの下部
ME superの特徴のひとつであるエアダンパーです。
ミラー動作時のショックの軽減と音の静音化に一役買っています。
このエアダンパーには筒の中にゴムが使われています。
分解して、筒の中のゴムの交換を行います。

シャッターユニットの清掃

今回はシャッターユニットを分解して、すべてのシャッター羽根を取り出して、汚れた羽根の洗浄を行います。
ちなみにシャッターユニットは電子制御式縦走りのセイコーのMFC2000が使われています。シャッター羽根は先幕が4枚、後幕が5枚で構成されています。

今回は不具合は「数枚程度、露光不足のような写りになる」とのことですので、シャッター速度が出ていない可能性があるため、シャッター羽根を洗浄して、本来のシャッター速度に戻るか、検証が必要です。

シャッターユニットのカバーを外した状態
内部にかなりのゴミと汚れがあります。
シャッター羽根の軸周りのゴミやシャッター羽根が擦れる部分に白い汚れが付着しているのが見て取れます。

シャッター羽根の分解
シャッター羽根を洗浄するため、羽根を分解して取り出します。

シャッター羽根を取り出した状態のシャッターユニット

シャッター羽根の洗浄
有機溶剤を使って、シャッター羽根をすべて洗浄します。

シャッター羽根清掃後、シャッターユニットを仮に組み上げて測定器にてシャッター速度を測りました。

測定結果は、不具合があった高速シャッターはすべて規定値内の速度にて切れるようになりました。

特に1/2000秒については、シャッターユニットを分解清掃しても部品の経年劣化により、その速度が出ないものも多く見られますが、測定器で測った結果、規定値内の速度にて1/2000秒が切れています。

心配だった電子基板については、問題はありませんでした。

その他、ASAダイヤル(露出補正ダイヤル)の一部に不具合が見られましたので、部品交換を行っておりますが、これで、不具合は解消されたと思います。

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