1972年(昭和47年)、プロ仕様の高級35mmシステムカメラとして、PENTAX LXの開発が始まります。
この頃のペンタックスのカメラは、PENTAX ESが1年前に発売され、その翌年、PENTAX ESIIが発売される時期です。
それから、実に開発開始から8年が経過し、PENTAX LXが発売されたのは、さらにKシリーズ、Mシリーズが発売された後、旭光学創立60周年にあたる、1980年(昭和55年)となります。
こちらのペンタックスLXは、シャッターの動作不良ということで修理依頼がありました。
シャッター不良
シャッター不良は、リターンミラーの動作が緩慢なことで、シャッターに不具合が起きていました。
ミラーボックス内のリンケージ部分の油切れが原因でしたので、カメラを分解し、動きが悪くなっている箇所へ注油を行いました。
シャッタースピードの調整は、シャッター幕軸への注油を行った後、機械式シャッタースピードの精度調整および電子式シャッタースピードの精度調整を行いました。
機械式シャッターは、高速シャッター(1/2000秒と1/1000秒)に狂いが生じていたため、測定器を使い、幕軸の調整を行っております。
露出計精度調整
露出計は、測定器を使って調整を行っております。
写真にある半固定抵抗を使って調整を行います。
※今回、調整を行う際、以前、アップロードしたペンタックスLXの修理レビューを見たところ、同様の写真に記載ミスがあったため、正しい記載に修正を行っています。
劣化モルト交換
モルトは、リターンミラー受けの箇所をLX用に切り出して交換を行っております。
ファインダー清掃
アイレベルファインダーは、分解して、清掃を行っております。
こちらのアイレベルファインダーですが、プリズムに腐食が見られますが、清掃では除去できないため、清掃のみ行い、組み戻しています。
腐食は、ファインダーを覗くと、下部に見られますが、中心から離れているため、ピント調整には、大きな問題は無いと思われます。
こちらのファインダーは、ホットシューが無い「FA-2」という型番のファインダーです。
主な修理箇所
- ミラー動作不良修理
- シャッター幕軸注油
- 機械式シャッタースピード精度調整
- 電子式シャッタースピード精度確認
- 露出計精度調整
- 劣化モルト交換
- ファインダー清掃
- フィルム室清掃
- 外装清掃
型式 | TTL自動露出式35mm一眼レフレックスカメラ |
使用フィルム | 35ミリフィルム(J135または135パトローネ入り) |
画面サイズ | 24 x 36mm |
レンズマウント | ペンタックスKマウント |
シャッター | チタン幕 フォーカルプレーンシャッター オート 電子式 1/2000~125秒[無段階][常温常湿] マニュアル 機械式 1/2000~X[1/75]・B 電子式 1/60~4秒 |
シンクロ | FP、Xソケット[専用ストロボ接点] |
ホットシュー | アイレベルファインダーFA-1、アイレベルファインダーFA-1Wにあり |
セルフタイマー | 機械式 約4~約10秒、チャージ後の解除可能[始動はシャッターボタン] |
ファインダー | ファインダーおよびフォーカシングスクリーン交換式 視野率:縦98%・横95%、倍率:0.9倍[ファインダーFA-1,レンズ50mm・∞] |
ファインダー内表示 | シャッタースピード指針、露出補正警告マーク 絞り表示窓[表示付交換ファインダーによる] |
ミラー | スイングバック式多層コート大型クイックリターンミラー ミラーアップ装置付、測光ミラー付 |
フィルム入れ | マジックニードル式クイックシュアローディング |
巻上げ | レバー式120°、予備角25°、分割巻上げ可能、巻上げ表示付 モータードライブLX・ワインダーLX取りつけ可能 |
フィルムカウンター | 自動復元順算式、巻戻しに連動 |
巻戻し | クランク式、巻戻しボタン自動復元 モータードライブLX・ワインダーLXによる卷戻し可能 |
多重露光 | 卷戻しボタンで多重露出機構切替え |
露出計 | IDMシステム、TTL中央重点全面測光 フィルム感度目盛ASA6~3200 絞り込み・ミラーアップ時も自動露出可能 受光素子・SPD |
測光範囲 | マニュアル測光範囲 EV1~EV19[F1.4レンズ付、ASA(ISO)100] 自動露出測光範囲 ASA(ISO)100、F1.2・125秒~F22・1/2000秒[EV -6.5~EV20][常温・常湿] |
露出計スイッチ | シャッターボタンまたは測光ボタンを押すとON、約25秒後タイマースイッチでOFF |
電源 | JIS LR44形アルカリマンガン電池、またはSR44形銀電池[G13]を2個使用 |
電池消耗警告 | 電圧低下により、表示用LEDが点滅、さらに低下すると消灯 |
露出計補正 | 1/4X、1/2X、1X、2X、4X、1/3ステップダイヤル式 1Xでダイヤルロック 補正警告ファインダー内表示 |
裏ぶた | 蝶番式、メモホルダー付、着脱可能、ダイヤルデータLX、データLX、長尺マガジンLX取りつけ可能 |
大きさ | 幅144.5mm x 高さ90.5mm x 厚み50mm |
重量 | 570g(FA-1付ボディー) |
付属品 | ファスナーストラップLX、三脚用補助板、視度アジャスター、レンズキャップ、シリコンクロス [ボディのみの出荷の場合はボディートップキャップ] |
発売年月 | 1980年(昭和55年)6月 |
発売価格 | 112,000円 |
この修理レビューの目的は、修理をご依頼していただいたお客様に向けての修理内容のご紹介となっております。
こちらの修理ブログを見て、お問い合わせいただいたお客様の同一機種のカメラの修理をお約束するものではありませんので、あらかじめご了承ください。