ASAHI PENTAX KX

PENTAX KX フィルムカメラ修理

仕様

形式35㎜フォーカルプレーンシャッター式一眼レフ
ファインダーペンタプリズム固定
シャッター機械式ゴム布幕横走行フォーカルプレーン
シャッタースピードB・1~1/1000秒・シンクロ速度1/60秒
マウントKマウント(バヨネットマウント)
測光方式TTL開放中央重点測光(SPD受光素子)
電源LR44x2個またはSR44x2個
大きさ幅143mm x 高さ92.5mm x 奥行52.5mm
重量631g
発売年月1975年(昭和50年)
発売価格49,100円(ブラックは3,000円高)

修理内容

こちらのペンタックスKXは、絞り窓の汚れが酷く、絞り値の確認がし難いため、その修理とシャッター速度の調整のご依頼です。

修理を進めていくと、上記以外にも、不具合がいくつかありました。

絞り窓の汚れ

カメラを分解してみると、絞り窓にレンズの絞り値を反射させるミラーのひとつが腐食していました。
PENTAX KX フィルムカメラ修理

腐食したミラーは、金属の錆なので、清掃しても汚れは落ちません。
腐食したミラーについては、部品交換を行いました。
PENTAX KX フィルムカメラ修理

シャッター速度調整

シャッター速度については、ズレが見られます。
特に高速シャッター(1/1000秒)は、かなりズレが大きい状態でした。

シャッター速度については、調整に際して、シャッター幕軸へ注油を行い、しばらく時間を置いて、油が浸潤した後、測定器を使ってシャッター速度の調整を行いました。

調整後は、先幕と後幕の幕速差も縮まり、高速シャッター側の速度も、おおむね良好な数値が出ています。

プリズムの固定ネジ

プリズムを固定している押しネジの頭の部分が割れてしまっています。

PENTAX KX フィルムカメラ修理

このネジは真鍮製のネジなので、素材が柔らかく、ねじロック剤などで固くなっていた場合、ねじロック剤を除去せず、ドライバーで無理に回すとすぐにねじの頭が割れてしまいます。

お客様のお話では、以前、こちらのカメラを何度か修理に出したとのことでしたので、そのタイミングで、修理をされた方が、ネジを割ってしまったものと思われます。

ただし、ネジとしては問題はなく締められており、プリズムはしっかり固定されていたので、おそらく、最後にネジを締めた時に割ってしまったが、交換せず、そのままネジロックをしたのではないかと思われます。

今回、こちらの押しネジについては、交換を行いました

この押しネジはマイナスねじなのですが、ネジの頭の半分が無くなってしまうと、通常通り、マイナスドライバーであててネジを回すことが困難になりますが、工夫をしてネジを外し、ネジの交換を行っています。

ファインダー内のゴミ

お客様が修理に持ち込まれた際、ファインダー内に1点、塵が付着していることを気にされていました。

塵は極々小さなもので、おそらく、何かのタイミングで混入したものと思われます。PENTAX KXは防塵処理がされたカメラではないため、どうしても、塵や小さなゴミ等は混入してしまうことをお客様へお伝えし、塵を除去しても、再度、何かのタイミングで混入してしまうことをあらかじめお伝えしました。

修理では、気にされていた塵は除去でき、修理完了後の引き渡しでは、お客様もファインダーの状態にご満足いただけたご様子でした。

露出計調整

露出計はカメラをお預かりした時点で、大きくはズレはありませんでしたが、精度アップのため、測定器を使って微調整を行いました。

フィルムカウンター指標ズレ

フィルムカウンターの指標がわずかにズレていたので、調整を行いました。

主な修理内容は下記の通りです。

・シャッター速度調整
・絞り窓修理
・絞り窓反射ミラー部品交換
・露出計調整
・ファインダー清掃
・プリズム固定ネジ部品交換
・フィルムカウンター指標ズレ調整
この修理ブログの目的は、修理をご依頼していただいたお客様に向けての修理内容のご紹介となっております。
こちらの修理ブログを見て、お問い合わせいただいたお客様の同一機種のカメラの修理をお約束するものではありませんので、あらかじめご了承ください。