シャッター羽根に粘りありシャッターがうまく切れない状態です。
露出計については、購入時に動作しないと販売店に言われたとのことで、実際に電池を入れても全く動作しない状態です。
さらに、巻戻しクランクのレバーに当たりがなく、グラグラした状態です。
修理内容
シャッター不良
シャッター不良の原因は、シャッター羽根に劣化したグリスやゴミなどが入り込んで、シャッター羽根に粘りが生じしまい、シャッター羽根が開閉不良になっていました。
カメラを分解して、シャッター羽根の脱脂、清掃を行い、シャッターは正常に切れるようになりました。
巻き戻しクランクレバー
クランクレバーは、当たりがなく、グラグラした状態でした。
レバーの緩みの修理は、当たりが出るよう板バネの調整を行い、レバーのぐらつきは無くなりました。
露出計動作不良
露出計の動作不良は、通電不良によるものでした。
こちらのPEN D3の通電不良は、電池室に入れっぱなしにしてあった電池が、長期間の保管で液が漏れ出し、接点や配線が腐食してしまったことが原因と思われます。
お預かりしたPEN D3を確認したところ、やはり電池室に液漏れの跡があり、その影響で接点部分やその先の配線内部にも腐食が見られました。
配線については、液漏れした液が配線内部にかなり染み込んでしまっており、テスターを使って通電確認を行いましたが、まったく通電しない状態でした。
修理は、カメラ内部の配線の引き直しおよび、腐食していた接点の清掃を行い、修理後、露出計は動作するようになりました。
ただし、受光素子の経年劣化により、露出計は狂いが生じていたため、適正露出を示すよう固定抵抗の部品交換を行うことで、精度の調整を行っています。
露出計に関連して、カメラ上部にあるBV値窓(BV=被写体の輝度値)やフィルムカウンター窓にかなり曇りが見られ、その数値が読み取り難いため、窓の曇り除去処理を行い、数値はしっかりと読み取れるようになりました。
露出計についての後日談
カメラ修理後の引き渡し時、お客様へ、カメラが動作していた時、撮影時の露出はどうされていたのかを伺ったところ、露出計は初めから動作しなかったため、スマホの露出計アプリを使って撮影をされていたとのことでした。
ただし、いちいちスマホを操作しないといけないため、少し面倒だったとのことでした。
また、露出計は直らないものとあきらめていたが、これからは、カメラの露出計が使えるとのことで、喜んでいらしゃいました。
遮光材、緩衝材
モルトの一部は、剥がれていたり、裏蓋のガイドレールの植毛部分については、摩耗が著しく見られたため、新しいモルトと植毛に交換を行っています。
モルトについての後日談
こちらのお客様は、市販のカッティングされたモルトを使い、ご自身で、一部のモルトの貼り換えを行ったとのことでした。
お話では、裏蓋の底面のモルトを貼るのに苦労をしたとのことでした。
お客様ご自身で貼った箇所を確認しましたが、裏蓋の底面のモルトについては、綺麗に貼れていましたが、フィルム室の上部溝部分のモルトについては、一部モルトが剥がれていました。
また、フィルム室の横溝部分も、モルトを貼る時に気になったそうなのですが、その部分については、モルトのような補修材を使っていないと思い、貼り換えを行わなかったとのことでした。
なお、フィルム室の横溝部分にモルトを使って貼ってしまうと、裏蓋開閉時に、うまく裏蓋がスライドしない可能性があるので、注意が必要です。
修理内容まとめ
- シャッター羽根粘り修理
- 巻き戻しクランクレバー緩み修理
- 露出計動作不良修理
- 電気配線引き直し
- 露出計精度調整
- 露出計固定抵抗部品交換
- 露出値点検
- BV値窓曇り除去
- フィルムカウンター窓曇り除去
- レンズ清掃
- 劣化モルト一部交換(フィルム室溝)
- 裏蓋ガイドレール植毛材交換
- ファインダー分解清掃
- フィルム室清掃
- 外装清掃

この修理レビューの目的は、修理をご依頼していただいたお客様に向けての修理内容のご紹介となっております。
こちらの修理ブログを見て、お問い合わせいただいたお客様の同一機種のカメラの修理をお約束するものではありませんので、あらかじめご了承ください。