OLYMPUS OM-1N フィルムカメラ修理

OM-1Nの基本的な仕様は、OM-1(MD)と同等ですが、連動用接点が組み込まれているため、専用ストロボ(T20・T32)を使った際、ファインダー内に発光ダイオードで充電完了をお知らせしてくれる表示機能が追加されています。

仕様
形式機械式35ミリフォーカルプレーンシャッター式一眼レフ
フィルムサイズ24mmx36mm(35ミリサイズ)
マウントオリンパスMマウント バヨネット交換式(回転角70°)
フランンジバック46mm
シャッターフォーカルプレーンシャッター
マウントダイヤル式
B・1~1/1000秒 シンクロ速度1/60秒
シンクロFP・X接点切換式
ファインダーペンタプリズム式広視野ファインダー
視野率 約97%(対実画面) 倍率 0.92倍(50mm/距離∞)
視野角 短辺23°30’ 長辺35°
露出計測光表示付
フォーカシシグスクリーン交換可能
ミラー 大型クイックリターンミラー ミラーアップ可能
フィルム装填イージー・ローディング
フィルム巻上レバー式 小きざみ巻上可能 巻上角150° 予備引出角30°
セルフコッキング 二重巻上防止・二重露出防止付
フィルムコマ数計順算式 自動復元
フィルム巻戻しクランク式 巻戻しクラッチセット式 自動復元
露出計TTL(CdSx2個使用)
開放測光式中央重点平均測光 定点合致式
ファインダー内定点合わせ式 露出計ON・OFFスイッチ付
測光範囲F1.4でASA100のときEV2~17
電源水銀電池 MR9(H-D)型 1.35V 1個使用
フィルム感度目盛ASA25~1600 ロックボタン付
裏蓋開閉交換式(裏蓋は取り外せて交換可能) 標準裏蓋は蝶番式
交換可能アクセサリ
レコーデー夕バック1

250フィルムバック1
アクセサリーシュー専用ユニット着脱式
コードレス接点付
アクセサリーシュー2
大きさ幅136mm x 高さ83mm x 奥行50mm
重量510g
発売開始年月1979年(昭和54年)3月
発売時価格50,000円(クロームボディ)/ 54,000円(ブラックボディ)
修理内容

こちらのオリンパスOM-1Nは、巻き戻しクランク軸の交換とシャタースピードダイヤルの固さ調整、プリズムの腐食対策、露出計の精度調整を含めたオーバーホールのご依頼です。

カメラをお預かりし、修理した箇所は下記の通りです。

クランク軸部品交換

クランク軸は、先端の二股に分かれた片方を折ってしまったとのことで、部品交換を行っております。

プリズム腐食対策

OLYMPUS OM-1N フィルムカメラ修理
プリズムカバー交換前
OLYMPUS OM-1N フィルムカメラ修理
プリズムカバー交換後

OM-1Nは、トップカバー上のアクセサリーシュー取付部の穴から、その下にあるプリズムと接眼レンズの隙間に光が入り込むことを考慮し、その部分にモルトを使って遮光しています。

この部分に貼られたモルトは、経年劣化で、モルトが加水分解して、プリズムを腐食させてしまうことはOM-1愛好家の中では有名です。

対策としては、モルトが加水分解する前に、新しいモルトに貼り直すか、モルトを被せず、プリズムと接眼レンズの隙間を覆う形の遮光対策されたプリズムカバーに交換するかの2通りの対策となります。

今回は、プリズムカバーの部品交換を行っております。

シャッターダイヤル

OM-1系のシャッターダイヤルの固さには、個体差があり、適度な力で軽く回るものもあれば、両指を使いしっかり力を入れて回す必要があるものもあります。

シャッターダイヤルは、ダイヤルリングに付着したゴミやグリスなどの影響でも、固くなりますが、基本的に、シャッターダイヤルの固さは、シャッターダイヤルのダイヤルリングに押し付けられるベアリングのテンションによって、大きく変わります。

つまり、このベアリングの押し付けるテンションの強弱調整によって、シャッターダイヤルを回すフィーリングが変わってきます。

シャッターダイヤルが固く回すのにかなり力がいるものは、調整が必要ですが、許容範囲内の固さであれば、基本的に調整は必要ありません。

こちらのOM-1Nのシャッターダイヤルについては、ダイヤルを、両指で力を入れてしっかり回さないとシャッタースピードの切替が出来ない状態だったため、固さの調整を行いました。

シャッターダイヤルの固さ調整後は、適度な力で、ダイヤルが回せるようになりました。

露出計精度調整

露出計については、少しズレが見られたため、精度の調整を行いました。

露出計は、通常、露出計に備わった調整ネジを利用して精度の調整を行います。

こちらのOM-1Nについては、調整ネジを使って調整を行ってみましたが、すでに調整ネジが限度いっぱいまで回されており、それ以上、調整ネジを利用した調整は出来ない状態でした。

そのため、露出計装置の修理を行ない、再度、露出計を調整することで、露出計は、適正露出を示すようになりました。

シャッター速度調整

シャッター速度については、後幕の速度が遅く、特に高速側の1/1000秒については、許容範囲を超える速度となっていました。

こちらは、シャッター幕軸へ注油を行った後、測定器を使い、速度の調整を行い、その後、日をおいて、再度、速度の微調整を行っております。

調整後、1/1000秒を含め、すべてのシャッター速度において、許容範囲内の速度が出ています。

主な修理箇所

・クランク軸部品交換
・プリズムカバー部品交換
・シャッターダイヤル固さ調整
・露出計分解修理
・露出計精度調整
・シャッター速度調整
・スローガバナー注油
・シャッター幕軸注油
・ファインダー分解清掃
(接眼レンズ、プリズム、フォーカシングスクリーン、リターンミラー)
・劣化モルト交換
・フィルム室清掃
・外装清掃

この修理レビューの目的は、修理をご依頼していただいたお客様に向けての修理内容のご紹介となっております。
こちらの修理レビューを見て、お問い合わせいただいたお客様の同一機種のカメラの修理をお約束するものではありませんので、あらかじめご了承ください。