OLYMPUS OM-1

今日は、オリンパスOM-1のフィルムカメラ修理をご紹介します。

ここのところ、OM-1の修理依頼がとても多いです。
それだけ、OM-1には、修理してでも、使ってみたい魅力が満載のカメラなのだと思います。

お客様の中には、何十年も使っておらず、押し入れに眠っていたのが偶然出てきたので、整備してまた使ってみたいといった方が多くいらっしゃいます。

また、20代、30代の方のお客様も多く、デジタル写真では、得られない、フィルム独特の色合いや写り、そして、マニュアルカメラの操作に惹かれて、フィルムカメラを始める方が増えているようです。

そうした方々には、フィルムカメラらしい外観と手軽な大きさと重さで、フィルムを自分自身で巻き上げて、シャッター速度や絞りを決めながら、写真がカメラ任せではなく、自分で撮ることが実感できるということが、オリンパスOM-1の魅力なのだと思います。

修理内容

こちらのOM-1の不具合内容と修理内容は下記の通りです。

露出計の指針の動作が不安定で、正確な露出が測れない

露出計の指針が不規則に動いて不安定な場合、電池室の板バネを固定しているプラスチックのネジが経年劣化で折れていることが考えられます。

折れているネジの箇所

ピンセットでネジをつまむと簡単にネジの頭が取れてしまいます。

電池室の下には切れたネジの残りがあります。

同じOM-1でも、年代により、プラスチックネジではなく、金属ネジを使っているカメラもありますが、その場合、今回のような露出計が不安定な症状が出ることは少ないと思われます。

プラスチックネジが折れている場合、電池室に残っている頭が切れたネジを取り出し、代わりのプラスチックネジと交換します。

ネジに何故プラスチックネジが使われているのか?
仮に、金属ネジをそのまま使うと、電気がボディに流れてショートしてしまい、露出計が動作しないためです。

修理は厳密に言えば、プラスチックネジを使わなくても、ショートしないように工夫すれば、金属ネジを使っても問題はありませんが、ネジの径が特殊で、ショート対策も行わなければならないため、通常はプラスチックのネジを使って交換します。

今回は、代わりのプラスチックのネジに交換して露出計は正常に動作するようになりました。

巻き上げレバーの戻りが悪い(かなりゆっくりと戻る)状態

症状としては、巻き上げは問題なく出来るのですが、レバーの戻りがとても悪く、とても、軽快に撮影ができる状態ではない様子です。

こちらは、巻き上げレバーユニットを分解し、ゴミや油の粘りなどを清掃することで、巻き上げた後のレバーはスムーズに戻るようなります。

巻き上げレバーユニットを分解

プリズムが腐食

ファインダーをのぞくと、プリズムが腐食してるのため、ファインダー下部が見ずらい状態です。

これは、上記写真にある通り、プリズム上のモルトが加水分解して、プリズムが腐食して、蒸着部分がはがれたためです。

腐食したプリズム
写真の通り、蒸着している部分がはがれています。

こちらのプリズムは腐食していないプリズムと交換をしました。

その他にも、シャッター速度の調整や、劣化したミラー緩衝モルトやフィルム室のモルトの交換、スローガバナーの清掃と注油、フィルム室内の清掃、外観清掃などを行って修理完了となります。

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