OLYMPUS OM-1
仕様
形式 機械式35㎜フォーカルプレーン一眼レフ ファインダー 視野率約97%(対実画面) 倍率0.92倍(50mm/距離∞) シャッタースピード B・1~1/1000秒 シンクロ速度1/60秒 測光方式 中央重点平均測光 定点合致式(CdS使用) 電源 MR9 水銀電池 x1 大きさ 幅136mm x 高さ83mm x 奥行50mm 重量 510g 発売年月 1972年(昭和47年)7月 発売価格 39,500円(ボディ+ケース付き) 修理内容
こちらのOM-1は、巻き上げ不良、露出計不安定、巻き戻しクランク引っ掛かり、セルフタイマースタートレバーの化粧板剥がれがあるということで修理依頼がありました。
修理を始めて、すぐに気付きましたが、こちらのOM-1は、明らかに素人の方が修理したカメラで、通常の修理では考えられないような修理が行われていました。
その結果、かなり多くの箇所において再修理が必要となり、当初考えていた修理よりもかなり時間を要してしまいました。
下記に、主だった不具合の修理について記載させていただきます。
巻き上げ不良
巻き上げの不良は、巻き上げに関連するギアに半田の破片が入り込んで噛んでしまっていたためです。
この半田の破片は、おそらく過去の修理の際に溶けた半田がカメラ内部に落ちてしまい、その落ちた半田を回収しなかったため、巻き上げに関連するギアへ入り込んでしまい、ギアが噛んでしまったもの思われます。
こちらの修理では、入り込んだ半田の破片を回収し、巻き上げが正常に行えるようギアを組み直して修理を行っております。
露出計動作不良
露出計については、過去の修理において、露出計の配線が誤って?切断されており、その配線を半田をてんこ盛りにしてつないでいますが、おそらく、その過程において、先に記載した溶かした半田がカメラ内部に零れ落ちてしまったものと思われます。
さらに、その修理がとてもいい加減で、配線を半田で繋いだ後、電気のショート対策をせず、半田部分が露出したまま、カメラを組み戻してしまったため、つないだ箇所がカメラ内の金属部分と当たって電気がショートして、露出計の動作が不安定に陥ってしまっていました。
通常の修理であれば、電気がショートしないよう、半田で繋いだ箇所は収縮チューブなどを使い電気が通らないよう保護を行います。
こちらの修理では、露出計の配線を繋いでいた半田を一旦取り除き、新たに配線を継ぎ足して、半田を使って配線を繋ぎ、収縮チューブで保護しています。
修理後、露出計は安定して動作するようになりました。
フラッシュ端子内部座金部品
トップカバーを開けると、通常、フラッシュの端子部分に座金が取り付けられていますが、こちらが、欠品していました。
おそらく、こちらも過去の修理の際に座金を紛失してしまい、そのままトップカバーを閉じてしまったものと思われます。
こちらは、本来のオリジナルの座金を調達して取り付けています。
接眼レンズ
こちらのOM-1の接眼レンズは、オリジナルのものから交換がされてしまっています。
交換してあった接眼レンズは、横幅のサイズが少し短く、レンズの厚みは本来よりも厚かったため、接眼レンズ枠には収まりはしますが、横にすき間があり、レンズに厚みがあるため、接眼レンズがプリズムに接触してしまっています。
そういった状態にあるにも関わらず、無理やり、プリズムと接眼レンズを押し込んでしまっています。
また、接眼レンズは接眼レンズ枠に嵌め込んだ後、接着して固定するのですが、その接着が全くされていない状態でした。
接眼レンズについては、プリズムと接触しているため、無理に組み込むと接眼レンズやプリズムが割れることもあるため、こちらは、オリジナルの接眼レンズを部品調達して、取り付けました。
プリズム保護カバー
プリズムを固定する為、プリズムには金具を被せていますが、金具によるプリズムの破損を防ぐため、本来であれば、金具とプリズムの間に、プリズム保護カバーが装着されています。
しかし、こちらのOM-1に関しては、そのカバーが欠品しており、プリズムに直接、金具を被せて固定されていました。
こちらも、おそらく、過去の修理においてプリズムカバーを紛失してしまい、そのまま金具を被せたものと思われます。
こちらは、本来のオリジナルのプリズム保護カバーを調達して取り付けています。
トップカバーねじ
トップカバーを固定しているクランク側のネジ2本の内、1本に異なるネジが使われていました。
おそらく過去の修理において、ネジを紛失し、代替として異なるネジを使ったものと思われます。
こちらは、本来のオリジナルのネジを調達して取り付けています。
ミラーボックス上部再塗装
レンズ装着時に、ミラーボックスの上部が、レンズマウントと擦れて、塗装が剥がれてしまうことがあります。
こちらのOM-1でも、同様の塗装剥がれがあった様子で、過去の修理において、塗装剥がれの箇所をタッチアップ塗装していましたが、その色がまだらで、見た目が悪いため、写真にある通り、吹き付けにて再塗装を行いました。
主な修理内容は下記の通りです。
・露出計動作不安定修理
・露出計調整
・セルフタイマースタートレバー化粧板再接着
・巻き戻しクランク引っ掛かり修理
・シャッターダイヤルグリスアップ
・巻き上げダンパー交換
・トップカバーネジ交換
・フラッシュ端子内部座金部品調達取り付け
・フィルムカウンター動作不良修理
・プリズム部品交換
・プリズム保護カバー部品調達取り付け
・接眼レンズ部品交換
・ミラーボックス上部再塗装
・裏蓋開閉不良修理
・シャッタースピード調整
・シャッター幕軸注油
・スローガバナー注油
・ファインダー分解清掃
・劣化モルト交換
・フィルム室と外観清掃
こちらの記事を見て、お問い合わせいただいたお客様の同一機種のカメラ修理をお約束するものではありませんので、あらかじめご了承ください。