Nikon F2 Photomic A

Nikon F2 Photomic A フィルムカメラ修理

修理内容

こちらのニコンF2フォトミックAは、総合整備での依頼です。

主な修理内容は下記の通りです。

・シャッター速度調整
・シャッター幕軸注油
・スローガバナー注油
・露出計調整
・電池室破損補修
・巻き上げ注油
・フィルム室清掃
・外観清掃
・ファインダー分解清掃
(接眼レンズ、プリズム、フォーカシングスクリーン分解清掃)
・劣化モルト交換
(シャッター静音用、ミラー緩衝用、ファインダー緩衝用、裏蓋遮光用、フィルム室遮光用、ボディ内緩衝用、アイピース枠緩衝用)

露出計調整

露出計の指針は、適正露出よりも約1.5段程度マイナス側に振れています。

例えば、快晴時、ISO100のフィルムを使用して撮影した場合、適正露出は下記の通りとなります。

・ISO:100
・シャッタースピード:1/125秒
・標準レンズの絞り値:F16

しかし、こちらのフォトミックAの露出計に合わせて撮影すると下記の通りとなります。

・ISO:100
・シャッタースピード:1/125秒
・標準レンズの絞り値:F8とF11の中間

絞り値をF16にした場合

・ISO:100
・シャッタースピード:1/30秒と1/60秒の中間
・標準レンズの絞り値:F16

つまり、こちらのフォトミックAの露出計に合わせてシャッターを切ると、適正露出よりも1.5段程度の露出オーバーで撮影がされます。

もし、露出計を調整せず、適正露出に近づけて撮影する場合は、露出計の指針が示す値よりも絞りを1.5段程絞るか、シャッター速度を1.5段程速くする必要があります。

今回は、露出計の調整を行います。

露出計調整
露出計調整

電池室破損補修

電池室の一部に破損が見られ、電圧が不安定になる恐れがあるため、補修を行いました。

シャッタースピード

シャッタースピードは許容範囲内に収まっていますが、やや遅い速度です。
許容範囲内に収まっていますので、撮影には、ほぼ問題はありませんが、調整を行います。

巻き上げ鳴き

巻き上げを行うと鳴きが出ていましたので、注油を行いました。

シャッターの残響音

シャッターを切った時に、甲高い残響音がしばらく続きます。

残響音の原因は、リターンミラーのスプリングダンパーが反響しているためです。
新品時は、このスプリング部分に静音化のためのモルトが貼ってありますが、経年劣化でモルトが加水分解し、機能しなくなります。

修理は、モルトを貼り替えることで残響音は無くなります。

シャッター静音化
シャッター静音化

リターンミラー緩衝用モルト交換

リターンミラーの緩衝用モルトは、分解して、奥の部分までしっかり貼り直します。

リターンミラー緩衝用モルト
リターンミラー緩衝用モルト
こちらの記事の目的は、修理をご依頼していただいたお客様に向けての修理内容のご紹介となっております。
こちらの記事を見て、お問い合わせいただいたお客様の同一機種のカメラ修理をお約束するものではありませんので、あらかじめご了承ください。