Nikon F Eyelevel
ニコンFは、日本の世界的グラフィックデザイナーである亀倉雄策氏によってデザインされました。
亀倉氏のデザインは、ニコンFだけでなく、ニコンを含め有名企業のロゴマークのデザインや1964年の東京オリンピックのポスター、プロ野球チームのユニフォームなど、多岐に渡ります。
しかし、亀倉氏のインダストリアルデザインについては、このニコンFのみであったと言われています。
直線を基調としたニコンFのデザインは、斬新で、もっともカメラらしい素敵なデザインとして、今もなお、多くの人々に愛されています。
今日はニコン F アイレベルのフィルムカメラ修理をご紹介します。
修理内容
こちらのニコンFは、過去に修理を行なっているようですが、修理に不完全な部分が多々見られ、その影響なのか、修理すべき箇所がとても多く感じられました。
カメラの状態としては、巻き上げが出来ず、シャッターが切れない点や、セルフタイマーの固着からレバーが全く動かない点、裏蓋に変形がありうまく開閉が出来ない点、幕軸の止めネジ割れとネジの締め忘れ、ファインダースクリーンのフレネルレンズ欠けと組み立ての不備などです。
シャッター不良と巻き上げ不良
シャッター不良と巻き上げ不良の原因についてですが、こちらは、シャッターチャージ時に問題がありました。
症状としては、巻き上げ時に関連するレバー部分がミラーボックスのレバーを押し込むのですが、そのレバーを押しきれず、チャージ不良になり、シャッターが切れず、それ以降、巻き上げも出来なくなっていました。
シャッターチャージ不良については、修理を行ない、正常にチャージ出来ると、シャッターも問題無く切れるようになりました。
シャッター幕軸のギアの止めネジ
こちらのNikon Fは、過去に修理が行われておりますが、おそらく、その際、シャッター幕軸のギアの止めネジを破損させ、そのネジの交換をせず、また、ネジも締めず(締められなかった?)にそのままの状態で納品されたものと思われます。
破損したネジの箇所は、シャッター幕軸のギアを固定するためのネジで、このネジは、ネジの頭部分が割れており、幕軸のギアは固定が出来ていませんでした。
この止めネジを締めないと、幕軸のギアが動いてしまう可能性があります。
ギアが動いてしまうと、せっかくシャッタースピードを調整しても、狂ってしまいます。
このネジは、取り出して、問題の無い同じネジに交換し、幕軸のギアもシャッタースピード調整後、固定しました。
アイレベルファインダー
アイレベルファインダーのプリズムがしっかりと固定されておらず、内部でガタガタと動いてしまう状態でした。
分解してみると、プリズム押さえ板のネジはしっかりと締めてありましたが、押さえ板の位置が悪く、ガタつきがある状態のまま、ネジを締め付けたものと思われます。
プリズムについては、分解して、清掃後、組込み、押さえ板の位置を調整して、ガタつきを無くしてから、しっかりと固定しています。
ファインダースクリーン
Nikon Fのファインダースクリーンは、フレネルレンズとスクリーンをテープで貼り合わせて、金属枠に収めて固定しています。
しかし、こちらのファインダースクリーンは、テープが剥がされて、固定がされておらずに、金属枠の中で、ガタガタとスクリーンが動いている状態でした。
分解して調べてみると、フレネルレンズのガラスは四隅がすべてが欠けている状態でした。
四隅が割れているフレネルレンズは、欠けている部分が視界にほとんど入らないため、今回は部品交換を行わず、フレネルレンズとスクリーンはテープでしっかり貼り合わせてから、金属枠に組み込み、ガタつきも無くなりました。
裏蓋開閉不良
裏蓋の開閉不良については、歪みが酷かったため、開閉不良になっていました。
裏蓋開閉不良は裏蓋の修正と調整を行いました。
セルフタイマー動作不良
セルフタイマーについては、固着と部品にわずかな変形が見られました。
固着については、洗浄を行い、古い油分を取り除いた後、注油を行いました。
部品の変形について修正を行いました。
主な修理内容は下記の通りです。
・裏蓋開閉不良修理
・セルフタイマー不動修理
・シャッター幕軸ギア止めネジ部品交換
・シャッター幕軸注油
・スローガバナー分解清掃注油
・シャッター速度調整
・劣化モルト交換
・フィルム室清掃
・外観清掃
・アイレベルファインダー分解清掃
・ファインダースクリーン分解清掃
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