FUJIFILM FUJICA ST-F

今日はとてもユニークなカメラ、「富士フィルム フジカST-F」の修理を行います。

こちらのカメラの特長はシャッターにあります。
レンズシャッターでもなくフォーカルプレーンシャッターでもない、ミラーシャッター式一眼レフカメラです。ミラーシャッターとはその名の通り、ミラー機構がシャッター機構にもなる仕組みです。
ミラーがアップした状態(△窓から光が入ります)

また、絞りにも特長があり、通常のレンズのような絞りではなく、アームの移動量によって絞りを決めます。
金色のアームの下にある黒いアームが上下して絞りの値を決めています。

カメラはプラスチックを多用しており、およそ360gと軽量です。バッテリーは単三電池二本で、露出はプログラムオートのみ、露出計はボディ正面の丸いボタンを押すことで、ファインダー内にある「+○-」が点灯して知らせます。巻き上げはダイヤル式で、レンズは固定レンズ(フジノン40mm F2.8)のため交換はできませんが、しっかりとしたプリズムを使った一眼レフカメラです。

ちょっと面白い仕組みとして、スナップ写真を意識した機能と思いますが、レンズに「FM」と書かれたスライドスイッチがあり、これを所定の位置にロックすると絞りと距離が連動する仕組みになっていて、最短距離1mでF11、5mでF2.8(開放)になります。

不具合の状況と修理

さて、こちらのカメラですが、プリズムが腐食しているため、お客様からプリズム交換の依頼をされました。お客様はすでに、プリズムが腐食していないパーツ交換用のカメラを別に用意しており、そちらからプリズムを取り出して移し替えます。

プリズム(腐食なしと腐食あり)
カメラ内部のプリズム部分にモルトが貼られているため、経年劣化でモルトが加水分解してプリズムが腐食しています。

見え具合

また、実際にフィルムを入れた際、巻き上げが重く、スムーズな動きではなかったため、調整を行いました。モルトの貼り換えやレンズ清掃など一通りの作業も行っています。

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