OLYMPUS OM-1
今日は、オリンパスOM-1のフィルムカメラ修理をご紹介します。
修理内容
こちらのOM-1は下記のような症状があるとのことで、修理依頼がありました。
・巻き上げてもシャッターが切れないことがあり、もう一度巻き上げると撮影できる。・露出計の通りに撮ると、やや暗い仕上がりになる
・1秒、1/2秒、1/4秒あたりのシャッタースピードが遅いように感じる。
修理内容は下記の通りです。
巻き上げ不良
巻き上げ不良については、シャッターチャージは出来るが、一回の巻き上げでチャージできないことがあります。また、無限に巻き上げが出来てしまいます。
不具合の原因は、カメラ底部のシャッター関連のギアの噛み合わせ不良や巻き上げユニットの不具合などが考えられます。
底部のギアについては、何度か組み直しを行い、様子をみましたが、改善が見られないため、ギア周りの部品を交換しました。また、巻き上げユニットについても、合わせて交換を行いました。
部品交換後は、シャッターチャージ不良や無限巻き上げなどの不具合は見られず、問題なく巻き上げやシャッターを切ることができました。
カメラ底部と巻き上げユニット
カメラ底部巻き上げユニット露出計
露出計通りに撮ると、やや暗い仕上がりになる原因は、電池の電圧を変圧していないためです。
OM-1の電池は、水銀電池MR-9(1.35V)のボタン電池が1個必要となりますが、水銀電池は環境問題から現在、製造がされておらず、入手ができません。
そのため、OM-1の電池は電圧変換したアダプターを使い、1.35Vの変圧した電池を使うのが一般的です。
修理依頼があったOM-1については、電圧無変換型の電池アダプターが入っていました。
電池はLR44が入っていたので、電圧は1.5Vとなります。電圧無変換型の電池を使った場合、露出計の指針は適正露出時、+(プラス)側に振れてしまうため、その指針を見て、絞り値を設定してしまうと、実際は適正露出よりも絞ってしまうため、やや暗い写真になってしまいます。
電池アダプター
左が変換型(SR43電池を利用)、右が無変換型(SR44 or LR44電池を利用)こちらのOM-1については、入っていた無変換型の電池アダプターを使い、1.5Vの電圧にて適正露出を指針が指し示すよう、露出計の調整を行いました。
スローシャッター
スローシャッターが遅かったり、止まってしまうのは、スローガバナーの粘りです。OM-1のスローガバナーはボディ内部の底面に組み込まれています。
スローガバナーは清掃後、注油を行い、規定範囲内の秒数でシャッターが切れるようになりました。
レンズの絞り環
お預かりしたレンズについては、絞り環の動きが悪く、開放側に回すと動きが渋く、開放近くではかなり動きが固くなっていました。
こちらは、絞り環を分解し、清掃を行うことで、問題なく動くようになりました。
主な修理内容は下記の通りです。
・巻き上げ不良修理
・底部ギア部品交換
・巻き上げユニット部品交換
・スローシャッター修理
・スローガバナーの清掃、注油
・シャッター幕軸注油
・シャッター速度調整
・露出計調整
・巻き上げレバー下のダンパー交換
・ファインダー分解清掃
・フィルム室清掃
・外観清掃
・レンズ絞り環の分解清掃
こちらの修理ブログを見て、お問い合わせいただいたお客様の同一機種のカメラの修理をお約束するものではありませんので、あらかじめご了承ください。