OLYMPUS OM-1
今日はオリンパスOM-1のフィルムカメラ修理をご紹介します。
OM-1シリーズの発売年は以下のようになっています。
1972年 M-1
1973年 OM-1 <<< ココ!!
1974年 OM-1 MD
1979年 OM-1NOM-1のシャッターは、B、1秒〜1/1000秒の機械式の横走り布幕フォーカルプレーンシャッターを採用しています。
シャッターを切るのに電池は必要なく、電池は露出計にのみ利用されます。カメラは510gと軽量ですが、大きさは大きくもなく、小さくもない、程よい大きさと思います。
初めて一眼レフのフィルムカメラを手にする方にも、お勧めできる1台と思います。露出にシャッター優先や絞り優先などのオートは無く、フルマニュアル操作の一眼レフカメラとなるので、デジタルカメラに慣れた方にはとても新鮮な撮影感覚ではないでしょうか。
フルマニュアル操作と言っても、さほど難しいものではありません。
ファインダーをのぞき、構図、ピント、露出を決めて、シャッターを切るというだけです。露出を決めるには露出計スイッチをONにして、ファインダー内に表示される下図を見て、シャッター速度と絞り値を回して、指針が指標内の中心近くに収まっていれば適正露出となり、おおむね良好に撮影できます。
露出計の情報
修理内容
こちらのOM-1は時々、巻き上げレバーがロックしてしまうという症状です。
ロックしても、巻き上げレバーを何度か操作していると、ロックが外れて、普通に巻き上げが出来るようになります。巻上げレバーがロックしてしまうのは主に、カメラ底部のギアの噛み合わせの狂いが原因のひとつにあります。
修理としては、このギアを一度取り外し、清掃を行った後、再組立て直すことで、直る場合もありますが、こちらのカメラは、時々、巻き上げレバーがロックしているので、偶然、噛み合わせが狂ったような感じではない様子です。
一旦、原因と思われるギアを取り外し、清掃後に再度組み立てを行ってみましたが、やはり、時々、巻き上げレバーがロックしてしまいます。何度か、ギアの再組立てを行なってみましたが、状況に変化が見られないため、ギアの交換を行いました。
赤丸のギアが不具合の原因
不具合の原因とみられるギアを交換後、巻き上げレバーの操作を時間をおきながら、何度も行いましたが、巻き上げレバーがロックするようなことは起きていません。
次に、露出計の動作が不安定になっている症状について見ていきます。
露出計の動作が不安定になると、指針が安定しなかったり、突然、おかしな位置に針が移動したりします。露出計の動作が不安定になる原因はいくつかありますが、こちらのOM-1は電池室にある電池を固定する金属板のテンション不足により、金属板がふらついて、電池の電圧が安定しないため、露出計の動作が不安定になっている様子です。
OM-1の電池室にある金属板はネジにより固定されていますが、このネジにプラスチックネジが使われている時期があります。
プラスチックネジは電気のショートを防ぐ目的で使われていますが、経年劣化によって、このプラスチックネジが電池を入れた時のテンションに耐えきれず、折れてしまったり、折れかかっていることがよくあります。そのため、金属板のテンションが出せずに、上述のような不具合が発生します。
修理は折れたプラスチックネジを交換し、金属板のテンションが出して、露出計の動作を安定させます。
折れたプラスチックネジ
電池室
赤丸が交換したプラスチックネジ
青線が電池と接触する金属板