PENTAX ME super
今日はペンタックスME superのカメラ修理をご紹介します。
ペンタックスME superは、同社MEの上位機として、1979年(昭和54年)に発売され、絞り優先AEのみだったMEから、マニュアル操作ができるようになりました。カメラは軽量コンパクトで、ファインダーは倍率0.95倍と大きく見やすいです。
操作ダイヤル
マニュアル操作の上下ボタンが付いています。修理内容
こちらのME superは下記のような不具合があります。
・ミラーアップになったり、巻き上げ時にシャッターが切れる事がある
・ミラーアップしていない時でも、巻き上げ、シャッターが動作しないことがある
・シャッタースピードのLEDランプが点灯したり、しなかったりするミラーアップやシャッターの不具合の原因は、ミラーボックスにある、ゴムダンパーの劣化が考えられ、そのゴムが粘ってミラーアップしたり、シャッターが切れなくなったりします。
早速、分解を行っていきます。
トップカバーとボトムカバーを外し、ミラーボックスを外すために必要なリード線を外していきます。
カバーを外した状態
モルトが加水分解してボロボロなので、後で交換します。ミラーボックスを外してゴムダンパーの状態を確認したところ、このカメラは分解、修理したと思われる形跡があり、3か所あるゴムダンパーすべてが取り除かれていました。
しかし、ゴムの除去後の後処理が悪く、ゴムの取り残しやゴムの粘り、ゴムの破片がカメラ内に残っており、また、ゴムダンパーも交換されてないため、不安定な動作を引き起こしていたようです。また、ミラーを戻すレバーの戻りも悪く、その部分も清掃、調整を行いました。
ミラーボックスのゴムダンパーの状態(交換前と交換後)
赤丸部分が交換したゴムダンパーです。また、ミラーボックス下部にある、エアーダンパーにもゴムが利用されているため、このタイミングで交換を行います。
シャッターユニットも取り外して、清掃を行いました。
シャッターユニットを取り外した状態次に問題となる、シャッタースピードのLEDランプが点灯したり、しなかたりする原因ですが、これは接点の不良が考えられますので、接点の清掃および、接点の曲がりなどを修正し、トップカバーのスイッチときちんと連動するよう調整を行いました。
また、露出計の動作確認を行ったところ、露出計の動作が不安定だったため、調査を行いました。その結果、絞り連動レバーの動作が緩慢になっていたため、露出計が正しい値を示さなかったようです。この絞り連動レバー部分の修理を行ったところ、露出計は正しい値を表示するようになりました。
ME superは、経年劣化でゴムダンパー部分が溶けたようになり、粘り出します。その結果、ミラーアップや巻き上げ不良、シャッターチャージ不良などの症状が出る場合あります。きちんと撮影できるME superを使いたい場合はメンテナンスが必要と思われます。