1972年(昭和47年)、プロ仕様の高級35mmシステムカメラとして、PENTAX LXの開発が始まります。
この頃のペンタックスのカメラは、PENTAX ESが1年前に発売され、その翌年、PENTAX ESIIが発売される時期です。
それから、実に開発開始から8年が経過し、PENTAX LXが発売されたのは、さらにKシリーズ、Mシリーズが発売された後、旭光学創立60周年にあたる、1980年(昭和55年)となります。

修理内容
PENTAX LX フィルムカメラ修理

こちらのペンタックスLXは、リターンミラーのモルト交換と、シャッター速度の調整、露出計の精度調整での修理依頼です。

主な修理箇所

  • リターンミラー緩衝用モルト交換
  • ミラーボックス内緩衝用モルト交換
  • 露出計メーター内部遮光用モルト交換
  • シャッター幕軸注油
  • 機械式シャッタースピード精度調整
  • 電子式シャッタースピード精度確認
  • 露出計精度調整
  • フレネルレンズ清掃
  • フォーカシングスクリーン洗浄
  • リターンミラー清掃
  • マット面ピント調整

シャッタースピード調整

シャッタースピードを測定器を使って測りました。

◆シャッタースピード測定結果

シャッタースピード中心値調整前調整後
1/2000秒0.48ms0.83ms0.58ms
1/1000秒0.97ms1.23ms0.97ms
1/500秒1.95ms2.43ms2.14ms
1/250秒3.91ms4.56ms4.29ms
1/125秒7.81ms9.05ms8.89ms
1/60秒15.6ms15.2ms15.4ms
中心値に近い数値程、精度が高い

調整前は、1/2000秒を除き、許容範囲内の速度が出ていますが、調整後は、より精度が上がっています。

露出計精度調整

露出計は測定器を使い、精度の調整を行っています。

お預かり時に見られた、露出計の1段のズレについては、調整を行うことで直りました。

PENTAX LX フィルムカメラ修理
仕様1
型式TTL自動露出式35mm一眼レフレックスカメラ
使用フィルム35ミリフィルム(J135または135パトローネ入り)
画面サイズ24 x 36mm
レンズマウントペンタックスKマウント
シャッターチタン幕 フォーカルプレーンシャッター
オート 電子式 1/2000~125秒[無段階][常温常湿]
マニュアル 機械式 1/2000~X[1/75]・B
      電子式 1/60~4秒
シンクロFP、Xソケット[専用ストロボ接点]
ホットシューアイレベルファインダーFA-1、アイレベルファインダーFA-1Wにあり
セルフタイマー機械式 約4~約10秒、チャージ後の解除可能[始動はシャッターボタン]
ファインダーファインダーおよびフォーカシングスクリーン交換式
視野率:縦98%・横95%、倍率:0.9倍[ファインダーFA-1,レンズ50mm・∞]
ファインダー内表示シャッタースピード指針、露出補正警告マーク
絞り表示窓[表示付交換ファインダーによる]
ミラースイングバック式多層コート大型クイックリターンミラー
ミラーアップ装置付、測光ミラー付
フィルム入れマジックニードル式クイックシュアローディング
巻上げレバー式120°、予備角25°、分割巻上げ可能、巻上げ表示付
モータードライブLX・ワインダーLX取りつけ可能
フィルムカウンター自動復元順算式、巻戻しに連動
巻戻しクランク式、巻戻しボタン自動復元
モータードライブLX・ワインダーLXによる卷戻し可能
多重露光卷戻しボタンで多重露出機構切替え
露出計IDMシステム、TTL中央重点全面測光
フィルム感度目盛ASA6~3200
絞り込み・ミラーアップ時も自動露出可能
受光素子・SPD
測光範囲マニュアル測光範囲
EV1~EV19[F1.4レンズ付、ASA(ISO)100]
自動露出測光範囲
ASA(ISO)100、F1.2・125秒~F22・1/2000秒[EV -6.5~EV20][常温・常湿]
露出計スイッチシャッターボタンまたは測光ボタンを押すとON、約25秒後タイマースイッチでOFF
電源JIS LR44形アルカリマンガン電池、またはSR44形銀電池[G13]を2個使用
電池消耗警告電圧低下により、表示用LEDが点滅、さらに低下すると消灯
露出計補正1/4X、1/2X、1X、2X、4X、1/3ステップダイヤル式
1Xでダイヤルロック
補正警告ファインダー内表示
裏ぶた蝶番式、メモホルダー付、着脱可能、ダイヤルデータLX、データLX、長尺マガジンLX取りつけ可能
大きさ幅144.5mm x 高さ90.5mm x 厚み50mm
重量570g(FA-1付ボディー)
付属品ファスナーストラップLX、三脚用補助板、視度アジャスター、レンズキャップ、シリコンクロス
[ボディのみの出荷の場合はボディートップキャップ]
発売年月1980年(昭和55年)6月
発売価格112,000円
この修理レビューの目的は、修理をご依頼していただいたお客様に向けての修理内容のご紹介となっております。
こちらの修理ブログを見て、お問い合わせいただいたお客様の同一機種のカメラの修理をお約束するものではありませんので、あらかじめご了承ください。
  1. 使用説明書を参照 ↩︎