OLYMPUS TRIP 35

赤ベロ出ない 絞り羽根動かない

仕様

形式35mmサイズカメラ
レンズD.ズイコー 40mm F2.8
フォーカス目測式
シャッター機械式レンズシャッター 1/30秒と1/250秒の2段階 手動時は1/30秒で動作
大きさ幅123mm x 高さ72mm x 奥行57mm
重量410g
発売年月1968年(昭和43年)5月
発売価格14,800円

修理内容

こちらのカメラは、ファインダーを覗いた際、暗い場所で出るはずの赤ベロが出ないということで、修理依頼がありました。

OLYMPUS TRIP 35 フィルムカメラ修理
修理前の撮影(写真はお客様よりご提供)
OLYMPUS TRIP 35 フィルムカメラ修理
修理後の撮影(写真はお客様よりご提供)

赤ベロ

TRIP 35で多い不具合は、「赤ベロ」が出ないというトラブルです。

OLYMPUS TRIP 35 フィルムカメラ修理 赤ベロ修理
赤ベロ

では、「赤ベロ」とはいったい何なのか?

まず、「赤ベロ」という呼称についてですが、当時の取扱説明書を見てみると、実は、「赤ベロ」という呼称ではなく、単に、「赤いマーク」と呼んでいます。

しかし、一般的には、「赤ベロ」と呼ばれることがほとんどなので、ここでも、「赤ベロ」と記載します。

赤ベロの機能ですが、取り扱い説明書を見ると、(ファインダーを覗いた時)「写したいものが暗すぎて、EE(自動露出)の限界外ならば、赤いマークがでて警告を発し、シャッターは切れません。」と記載されています。

つまり、被写体が暗い場合、ファインダー内に警告として赤ベロが出て、シャッターを押せなくする仕組みとなります。

内部構造的には、光の明暗により、露出計の針が振れない(もしくは、ほとんど針が振れない)状態の時、レバーを押し上げて、ファインダーに赤ベロを出し、シャッターボタンをロックする仕組みです。

露出計の動作は、セレン光電池を使って動作させているため、別途、ボタン電池などを用意しなくても、露出計は動作し、絞りを自動調整して、自動露出で写真が撮れるようになっており、かなりアナログ的な動作です。

今回お預かりしたTRIP 35の赤ベロが動作しない原因ですが、最初、経年劣化で、セレン光電池の反応が悪くなり、露出計が動作していないことを疑いましたが、カメラを分解してみるとそれは間違いでした。

実際に露出計を目視してみると、露出計の針はしっかりと動作しており、光の明暗によって、きちんと反応しています。

しかし、光が足りない時でも、赤ベロのレバーは動作せず、赤ベロをファインダー内に出すことができません。
これは、赤ベロのレバーが故障しているのではなく、単にレバーの動きが悪いためです。

動きが悪い原因としては、レバーに汚れなどが付着して、動きを悪くしていることが考えられます。

実際に、レバー付近を清掃することで、動きは多少良くなりましたが、レバーを清掃しただけでは、根本的な解決に至らず、やはり、赤ベロがしっかりと動作している状態ではありませんでした。

結論として、赤ベロが動作しない、根本的な原因は、レバーを動作させているバネの経年劣化によるもので、バネに十分なテンションが無いため、赤ベロのレバーを押し上げられない状態でした。

今回は、このバネの調整を行うことで、赤ベロは問題無く、動作するようになりました。
なお、バネのテンション調整は微妙で、強すぎても、弱すぎても動作に支障をきたします。

OLYMPUS TRIP 35 フィルムカメラ修理
分解中
OLYMPUS TRIP 35 フィルムカメラ修理
モルト貼り替え

主な修理内容は下記の通りです。

・赤ベロ動作不良修理
・絞り羽根動作不良修理
・ファインダー前面レンズ接着剥がれ再接着
・ファインダー簡易清掃
・レンズ分解清掃
・無限遠調整
・貼り革貼り直し
・劣化モルト部分交換(前板遮光用)
・フィルム室清掃
・外観清掃

修理後の撮影結果

OLYMPUS TRIP 35 フィルムカメラ修理
修理後の撮影(写真はお客様よりご提供)
OLYMPUS TRIP 35 フィルムカメラ修理
修理後の撮影(写真はお客様よりご提供)
こちらの記事の目的は、修理をご依頼していただいたお客様に向けての修理内容のご紹介となっております。
こちらの記事を見て、お問い合わせいただいたお客様の同一機種のカメラ修理をお約束するものではありませんので、あらかじめご了承ください。