Olympus PEN-FT + G.Zuiko Auto-S 40mm f1.4
今日は、Olympus PEN-FTとG.Zuiko Auto-S 40mm f1.4の修理を行ないます。
Olympus PEN-FTは1966年から1970年まで生産されたハーフサイズのカメラです。ハーフサイズのカメラなので、40mmのレンズは35mm換算で58mmとなります。
PEN-FTは発売から今年で53年になり、半世紀以上の年数が経過しているため、メンテナンスを受けていないPEN-FTのファインダーは暗くて見にくいものも多いのではないでしょうか。
このファインダーを見にくくしている原因のひとつにハーフミラーの腐食があります。ハーフミラーは簡単に言えば、マジックミラーみたいなものです。PEN-FTはPEN-FやPEN-FVと比べて、露出計を内蔵しており、この露出計はこのハーフミラーを通して測光しています。
修理内容
今回、お客様からの修理のご要望はいくつかありましたが、その1つに「ファインダーが暗い」というものがありました。
これは、プリズムの腐食や、ハーフミラーの腐食が原因のひとつにあげられます。腐食の場合はプリズムやハーフミラーを清掃しても改善があまりみられません。根本的にはその原因となるプリズムやハーフミラーを交換する必要があります。
今回、お預かりしたカメラのプリズムは目立った腐食はなく、ハーフミラーの腐食のみ見られたため、ハーフミラーの交換を行いました。腐食していたハーフミラーを新しいハーフミラーと交換すると、ファインダー内がすっきりと明るく見えることが確認できます。
ハーフミラー交換後のファインダー内
次にレンズの修理ですが、こちらのご要望は「絞り羽根の戻りが少し鈍い」とのことでした。
早速、レンズの状態を確認すると、やはり絞り羽根の動きが鈍く、撮影が出来るような状態ではありませんでした。
レンズを分解してみると、絞り羽根の動きが悪い原因は2つありました。1つは絞りを開閉させるアーム部分が外れていることが分かりました。このアームはマウント側についていて、手動で絞りを開閉できるボタンにつながる部分です。こちらはシャッターを切った際、ボディから絞りを連動させるレバーにもつながっています。通常であれば、このアームは、写真の箇所にねじ止めされて固定していますが、このネジがとれて、アームが外れていました。
ネジが外れている状態(アームは元に戻しています)
ネジが付いた通常の状態
2つめはレンズ鏡胴内、絞りリングの動きに合わせて、絞りを開閉させる突起があり、この突起に絞りを開閉させるアームが繋がっているのですが、このアームが外れていたため、絞りの羽根の動きが悪くなっていました。
ここの写真は撮り忘れました。上記2か所の不具合を修理することで、絞りは正常に動作しました。