OLYMPUS PEN D2
前モデルであるPEN Dの発売(1962年6月)から約2年後、1964年9月にPEN D2は発売されました。
前モデルとの大きな違いは、露出計の受光素子をセレン光電池からCdS(酸化カドミウム)に変更し、測光範囲を広げて、低照度時の精度を向上させました。
なお、セレン光電池に、電池は必要ありませんが、CdS(酸化カドミウム)には、電池が必要なため、PEN D2には、巻取りスプールの下に、電池室が追加されています。
仕様
形式 ハーフサイズカメラ レンズ F.ZUIKO 32mmF1.9(4群6枚) フォーカス 目測式、最短撮影距離0.8m シャッター B、1/8秒、1/15、1/30、1/60、1/125、1/250、1/500秒 機械式レンズシャッター 大きさ 幅106mm x 高さ68mm x 奥行51mm 重量 405g 発売年月 1964年(昭和39年)9月 発売価格 15,800円(ケース付) 修理内容
こちらのPEN D2は、「露出計の値がプラスに出てしまい、高速時のシャッターは切れるが低速時が不安定」とのことで修理依頼がありました。
露出計
露出計は、針が振れているとことでしたが、確認したところ、動作していませんでした。
厳密には、わずかに針は振れていますが、ほぼ動作していない状態でした。
露出計不良には、スイッチ不良、基板不良、通電不良、接点不良、受光素子(CdS)不良、露出計装置不良等々の原因が考えらえます。
こちらのPEN D2の露出計不良については、受光素子(CdS)の劣化が原因でしたので、受光素子(CdS)の部品交換を行いました。
シャッター不良
低速シャッター時にシャッターが切れないことを確認しました。
また、バルブに合わせた時は、バルブ状態にならず、普通にシャッターが切れてしまいました。
シャッター不良については、レンズシャッターの清掃と必要な箇所への注油、巻き上げに関連する、巻き上げ軸やギアのゴミや汚れの除去、清掃、グリスアップ等を行うことで、バルブを含む、すべてのシャッター速度において、正常にシャッターが切れるようになりました。
なお、巻き上げを行う(シャッターチャージ動作)際、カメラ内部のバネを利用していますが、こちらのバネの一部が伸びてしまっているため、こちらは、部品交換を行っております。
主な修理内容は下記の通りです。
・受光素子(CdS)部品交換
・露出計精度調整
・低速シャッター不良修理
・レンズシャッター清掃注油
・巻き上げ清掃グリスアップ
・バネ(シャッターチャージ用)部品交換
・貼り革貼り直し(前面のみ)
・劣化モルト交換(フィルム室ガイドレールと上部、アイピース周辺)
・レンズ一部清掃(前玉と後玉の裏表)
・ファインダー清掃
・フィルム室清掃
・外装清掃
こちらの記事を見て、お問い合わせいただいたお客様の同一機種のカメラ修理をお約束するものではありませんので、あらかじめご了承ください。