OLYMPUS PEN D
仕様
形式 ハーフサイズカメラ レンズ Fズイコー3.2cm F1.9 フォーカス 目測式、最短撮影距離0.8m シャッター B、1/8秒、1/15、1/30、1/60、1/125、1/250、1/500秒 機械式レンズシャッター 大きさ 幅108mm x 高さ67mm x 奥行50mm 重量 400g 発売年月 1962年(昭和37年)6月 発売価格 13,800円 修理内容
こちらのPEN Dは、シャッターボタンを押してもシャッター羽根が動作しないということで、修理依頼がありました。
カメラを拝見すると、シャッタースピードダイヤルのレンズフィルターを取り付けられる枠部分の二ヶ所に大きな凹みがあります。また、トップカバーのフィルム巻き上げ付近にも、大きな凹みが見られ、トップカバーが変形しています。
シャッター不良修理
シャッター不良の主な原因は、シャッター羽根の固着によるものでした。
修理は、通常、前面から分解して、修理を行いますが、こちらのカメラは、前面に凹みがあり、前面からの分解が不可能だっため、レンズシャッターユニットを取り出し、後面から分解し、修理を行っています。
後面からアクセスしているため、シャッターガバナーへの注油などは行えませんでしたが、今回の不具合の原因は、シャッター羽根の固着だったため、後面から、シャッター羽根の清掃を行うことにより、シャッター羽根は開閉するようになりました。
シャッターチャージ不良修理
シャッター修理後、巻き上げを行った際、時々、シャッターチャージのロックが掛からず、多重巻き上げが出来てしまったり、シャッターを切った後、ロックが解除されず、巻き上げ出来ないという挙動が見られました。
こちらは、一部のバネの交換と、フィルムカウンター下の板バネの調整を行うことで、修理対応を行っております。
フィルム巻上ホイール下プラカバー部品交換
過去にあった、カメラ落下の影響と思われますが、フィルム巻上ホイール下のプラカバー部品が、オリジナルのものでは無く、自作の部品にて交換修理が行われていました。
こちらの修理は、プロの修理ではなく、おそらく、ユーザーご自身か、手先が器用な素人の方が修理をされたものと思われますが、自作の代替部品だったため、部品がネジ止めされておらず、接着剤を使って固定されていました。
そのため、分解後の組み戻しは困難と判断し、こちらについては、純正部品を調達して交換修理を行っております。
露出計窓黄変修理
露出計(正式名称はEVメーター)の窓に黄ばみが生じてしたため、修理を行っております。
露出計精度調整
露出計は3段程度のズレが生じていたため、露出計の精度調整を行っております。
ただし、露出計受光素子の経年劣化の影響で、精度調整後も半段から1段程度のズレが見られますが、実際に露出計に合わせて撮影をされても、1段程度の露出のズレであれば、プリント時に補正されてしまうため、ネガフィルムであれば、特に気にならないかと思われます。
レンズコバ剥がれ(コバ塗り)修理
レンズの分解清掃時、一部のレンズにコバ剥がれがあったため、コバ塗りを行いました。
コバとは、突起したレンズ部分の反射を抑えるため、レンズの縁を墨を使って黒く塗ることです。
レンズは組み上げ後に無限遠の確認を行っています。
暗箱内遮蔽板除去
暗箱内にユーザー自身で貼り付けたと思われる、遮蔽板のようなものがありました。
遮蔽版のようなものは、レンズシャッターユニットを取り出す際、工具に引っ掛かるため、剥がしました。
なぜ、この遮蔽版のようなものが、貼られているのかは、不明ですが、本来、カメラに取り付けられているものでは無く、撮影の際、フィルムの一部分を遮光してしまうため、このカメラ本来の画角での撮影が出来ないため、カメラ組み上げ時には、再貼り付けを行っておりません。
裏蓋ガイドレール緩衝材貼り直し
裏蓋の溝(ガイドレール)部分に緩衝材が貼られていましたが、経年劣化で傷んでいたため、緩衝材を貼り直しました。
主な修理内容は下記の通りです。
・シャッター不良修理
・シャッター羽根清掃
・シャッターチャージ不良修理
・フィルム巻上ホイール下プラカバー部品交換
・露出計窓黄変修理
・露出計精度調整
・レンズコバ剥がれ(コバ塗り)修理
・レンズ分解清掃(一部レンズはレンズ枠変形のため分解不可)
・無限遠確認
・暗箱内遮蔽板除去
・貼り革貼り直し
・劣化モルト交換
・裏蓋ガイドレール緩衝材貼り直し
・裏蓋清掃
・ファインダー分解清掃
・フィルム室清掃
・外装清掃
こちらの記事を見て、お問い合わせいただいたお客様の同一機種のカメラ修理をお約束するものではありませんので、あらかじめご了承ください。