OLYMPUS OM-1
今日はオリンパスOM-1のフィルムカメラ修理をご紹介します。
今回お預かりしたOM-1はLR44電池がそのまま使えるようになっており、電圧を変換するダイオードも取り付けられていました。
電池室
電池室は通常MR-9の電池が入る大きさになっていますが、こちらは、電池室の中にプラスチック環が埋め込まれており、LR44型の電池が収まるように変更されています。
また、写真では分かりにくいですが、ダイオードも付けられており、LR44の1.5V電池が使えるように電圧の変換が行われています。また、プリズムも腐食対策がされており、露出計スイッチもOM-1Nのような電子基板に変更されていました。
トップカバーを外した状態
左側に電子基板のスイッチが見えます。
また、プリズムの腐食対策として、プリズムカバーは接眼部分まで覆うものに変更されており、通常、プリズムと接眼レンズの間を覆うモルトはありません。修理内容
こちらのOM-1の不具合ですが、レリーズボタンが押されたまま戻らず、ミラーアップして、巻き上げもロックしている状態です。
レリーズボタンが戻らず、ミラーアップしているということは、シャッター動作が途中で止まっていると思われます。
また、巻き上げがロックしているのは底面のギアの噛み合わせ不良から来ることが多く、その場合、ギアを一度取り出して、組み直すと直る場合があります。
まずは、ギアの組み直しを行うため、底面のカバーを開けようと思い、ネジを外し、底面カバーを開けようとしたところ、「パシャ」とシャッターが切れる音がしました。
少し、おかしな動作でしたが、そのまま、ギアを外してみると、カメラ内部から「ぽろっ」とねじが落ちてきました。
おそらくこのねじが悪さをしていると思われます。
落ちてきたねじ
ギアを外した状態
こちらのねじですが、カメラ底部を見回してみると、電池室のねじが1本外れていました。
電池室
電池室をさらに見てみると、細いリード線が1本、ボディに接触しそうに、はみ出ていました。
もし、ボディに接触すると、ショートして、露出計の動作が不安定になってしまうため、はみ出たリード線は正しい箇所に半田付けしておきました。はみ出たリード線
電池室のねじを締め、ギアを組み直して、シャッターを切り、巻き上げを行って、再度シャッターを切ろうとしましたが、シャッターが切れません。
何度かギアを組み直してみましたが、症状は変わりません。
もう一度、底面をよく観察したところ、バネが1本外れていることがわかりました。
外れたバネ
通常、赤丸部分のバネは黄色い部分に引っ掛けてあります。バネが外れた経緯は分かりませんが、この外れたバネを元の位置に引っ掛け直すと、巻き上げやシャッターは正常に動作するようになりました。
上記修理以外に、以下のような修理も行ないました。
・シャッター速度調整
・露出計調整
・ファインダー清掃
・ゴムダンパーの交換
・劣化モルト交換
・シャッター幕のピンホール補修
・各部必要箇所への注油
・フィルム室内の清掃
・外観清掃外観はきれいなOM-1でしたが、思っていたよりも、不具合箇所が散見されました。
また、意外な部分にも故障の原因がありました。