Nikon F Photomic FTN Finder
Nikon F用のフォトミックFTNファインダーが発売になったのは、1968年(昭和43年)、もし、発売当初の製品であれば、2023年現在、半世紀以上の歳月が経過しています。
こちらのフォトミックFTNファインダーには専用ケースが用意されていて、かなり上質な革のケースとなっています。
仕様
露出計 | 指針式(アナログ) |
ファインダー視野率 | 視野率約100%、倍率0.8倍 |
測光方式 | TTL開放測光(中央重点測光)受光素子 硫化カドミウム(CdS) |
測光範囲 | ASA/ISO 100で EV2~17 |
開放Fナンバー目盛 | 1.2~5.6 |
電池 | 水銀電池MR9x2個 |
修理内容
こちらのフォトミックFTNファインダーは、お客様が中古で購入をされ、量販店経由で修理に出したところ「メーターが振り切れており使用不可です。旧製品の為、交換部品が無く修理不能となります。」との回答があったが、なんとか修理して使えないかということで、修理のご相談がありました。
露出計修理
ファインダーをお預かりして、ファインダーの状態を確認してみると、外観は綺麗で、プリズムの腐食も見られない、状態がとても良いファインダーでした。
しかし、露出計としては、メーターが振り切ってしまい、このままでは、露出計の機能は使用不可な状態でした。
露出計は、測定器を使い、光量値(LV値※)を3段階(LV15,LV12,LV9)に変えながら露出計を測ったところ、すべての光量において、露出計のメーターが振り切っている状態でした。
露出計の精度調整を行ってみたところ、かろうじて、高照度(LV15)時のみ、適正露出を示すようには出来ましたが、中照度(LV12)、低照度(LV9)では、露出計のメーターは振り切った状態でした。
光の明暗差によって、メーターを振り切ってしまっていては、露出計としては、使い物になりません。
※LV値
LV15:野外快晴
LV12:野外曇り
LV9:明るい室内
露出計の動作状況から、精度的にはダメでしたが、光に応じて、露出計のメーターは反応していることが判ったため、メーター自体は故障しておらず、メーターが振り切れる原因は、受光素子である硫化カドミウム(CdS)の不良が原因と判断し、露出計から2個の硫化カドミウム(CdS)を取り出し、テスターを使って各々の硫化カドミウム(CdS)の抵抗値を測定してみたところ、かなり反応が悪いことが判りました。
硫化カドミウム(CdS)の測定結果から、修理には、受光素子であるCdSの部品交換が必要と判断し、適正な抵抗値を示す2個のCdSの部品を調達し、部品交換を行いました。
硫化カドミウム(CdS)の部品交換後、測定器を使って露出計の調整を行ったところ、露出計のメーターは、光の明暗差に応じて、各々、適正な露出を示すようになりました。
主な修理内容は下記の通りです。
・露出計調整
・摺動抵抗清掃
・接点清掃
・モルト交換
・貼り革貼り直し
・ファインダー清掃
・外観清掃
こちらの記事を見て、お問い合わせいただいたお客様の同一機種のカメラ修理をお約束するものではありませんので、あらかじめご了承ください。