ニコンNew FM2は、Nikon Z fcのデザインの元になったカメラと言われています。
ニコンNew FM2は、1984年(昭和59年)3月に発売された完全マニュアル機のカメラです。
すでに40年前のカメラですが、そのデザインは今もなお、人々を引き付けるものがあります。

修理内容

こちらのニコンNew FM2は、「シャッターボタンが押せなくなった。押せなくなる直前まで他正常に作動していた。」とのことで、修理依頼がありました。

シャッター不良

Nikon New FM2 フィルムカメラ修理
絞り直読窓の反射ミラーが脱落(黄色い箇所)

お問い合わせの内容通り、シャッターボタンは押せませんでした。
巻上げレバーも途中で止まっているため、巻上げ操作も行えませんでした。

カメラ点検時に気になった点は、ファインダーを覗いた際、絞り値の確認が出来ないことです。

不具合の原因を考えると、シャッターボタンが、押せなくなる直前まで、正常に動作していたとのことですので、おそらくは、絞り値確認用の反射ミラーが、経年劣化で接着が剥がれて、カメラ内部に反射ミラーが脱落し、シャッターに関連するレーバーなどのリンケージ部分に挟まって、噛んでしまっているものと思われます。

Nikon New FM2 フィルムカメラ修理
取り出した脱落したミラー

カメラを分解して見たところ、やはり絞り直読窓の反射ミラーの脱落により、そのミラーがカメラ内部に入り込んでしまっており、そのミラーの影響で、シャッター不良と巻上げ不良が生じてしまっていました。

脱落したミラーを取り出して確認したところ、偶然にも割れや欠けは全くなかったため、清掃を行った後、そのミラーの再接着を行いました。

再接着は、ミラーが容易に脱落しないよう、治具を使ってしばらく圧着を行いました。

また、巻き上げの不良が生じていたため、合わせて修理を行いました。

Nikon New FM2 フィルムカメラ修理
露出計のアースバネ外れ(修理前)

脱落したミラーの影響と思われますが、管制部(シャッターダイヤル部分)内部にある、アース用のバネが外れていました。通常、このバネは、あまり外れることは無いと思います。

Nikon New FM2 フィルムカメラ修理
露出計のアースバネ外れ(修理後)

こちらは、バネの状態を確認しましたが、バネが外れだけで、バネそのものは変形や折れなどは無かったため、バネを正しい位置に掛け直しました。

主な修理内容

  • シャッター不良修理
  • 巻き上げ不良修理
  • 絞り直読窓ミラー脱落修理
  • 管制部バネ外れ修理
  • 露出計精度確認
  • シャッタースピード精度確認
  • 外装清掃
Nikon New FM2 フィルムカメラ修理
仕様
型式機械制御35㎜フォーカルプレーン一眼レフ
ファインダー視野率約93%
露出計TTL中央重点測光
シャッター金属羽根縦走行チタン幕シャッター
シャッタースピード1~1/4000秒・B・X接点1/250秒
使用電源LR44またはSR44x2・CR1/3Nx1
大きさ幅142.5mm x 高さ90mm x 奥行60mm
重量540g
発売年月1984年(昭和59年)3月
発売価格65,000円(ボディのみ)
この修理レビューの目的は、修理をご依頼していただいたお客様に向けての修理内容のご紹介となっております。
こちらの修理ブログを見て、お問い合わせいただいたお客様の同一機種のカメラの修理をお約束するものではありませんので、あらかじめご了承ください。