Nikon FM
ニコンFMは、機械式シャッターのカメラなので、電池が無くても撮影が出来ます。
電池は、露出計の動作に必要となります。流れとしては、Nikomat FT3(1977年3月発売)の後継機種というところですが、Nikon FMの発売は1977年5月なので、ほぼ同時発売に近いものだったようです。
「コンパクトニコン」というキャッチフレーズで登場し、FT3よりも一回り小さいボディが特長です。
また、非Aiレンズもピンの上げ下げにより装着可能というのも利点のひとつです。
仕様
形式 機械制御35㎜フォーカルプレーン一眼レフ ファインダー ペンタプリズム固定 シャッター 機械式金属羽根縦走りフォーカルプレーン シャッタースピード 1~1/1000秒、B、1/125秒同調 測光方式 TTL中央重点測光(受光素子GPD使用) マウント Nikon Fマウント 電源 SR44x2個 大きさ 幅142mm x 高さ90mm x 奥行60mm 重量 590g 発売年月 1977年(昭和52年)5月 発売価格 57,000円(ボディのみ) 修理内容
こちらのニコンFMは、巻き上げ時に、巻き上げレバーが空転しているため、シャッターチャージが出来ず、シャッターも切れない状態でした。
巻き上げ不良
巻き上げレバーを回しても、レバーはスカスカで、シャッターチャージが出来ず、シャッターが切れない状態でしたが、念のため、モータードライブのカップリング側からシャッターチャージ操作を行ってみたところ、シャッターチャージは出来て、シャッターが切れました。
次に、巻き上げ不良の原因を探るため、ニコンFMでよく見られる、カメラ底面にあるリンケージの噛み合わせの状態を見てみましたが、リンケージ部分に噛み合わせ不良は見られませんでした。
原因を探るため、トップカバーを取り外し、巻き上げ部品を分解して見たところ、巻き上げ軸の部品が破損して割れてしまっていることが分かりました。
そのため、巻き上げ操作を行っても、巻き上げレバーが空転してしまい、シャッターチャージが出来ない状態になっていました。
こちらは、巻き上げ軸の部品交換を行うことで、正常に巻き上げが出来るようになりました。
シャッター不良
シャッターは、バルブが切れなかったり、スローシャッターの速度にもかかわらず、速い速度でシャッターが切れてしまっていました。
こちらは、スローガバナーへ注油を行うことで、スローシャッターは正常に切れるようになりました。
スローガバナーへ注油後、測定器を使い、シャッタースピードを測ってみましたが、全速、許容範囲内の速度に収まっており、実際に測定器を使って、露出の値を測ってみても、通常の撮影で問題の無い、露出の数値が出ています。
巻き上げ鳴き
巻き上げ操作を行うと、鳴きがみられました。
こちらは、巻き上げ軸の油切れなので、注油を行うことで、鳴きが収まりました。
主な修理内容は下記の通りです。
・巻き上げ軸部品交換修理
・巻き上げ鳴き修理(巻き上げ軸注油)
・シャッター幕軸清掃注油
・スローガバナー注油
・シャッター速度確認
・露出計精度確認調整
・裏蓋開閉不良修理
・レンズ装着不良修理
・ファインダー清掃
・フィルム室清掃
・外観清掃
・劣化モルト交換(ミラー緩衝用、ミラーボックス内遮光用、接眼レンズ枠遮光用、裏蓋遮光用、フィルム室遮光用)
・貼り革貼り直し
こちらの記事を見て、お問い合わせいただいたお客様の同一機種のカメラ修理をお約束するものではありませんので、あらかじめご了承ください。