Nikon F2

1971年(昭和46年)、ニコンFの後継機として登場したのが、ニコンF2です。
ニコンのF一桁機としては、唯一の自社内デザインで、ニコンのフィルムカメラとして、最高の機械式シャッターのカメラとも言われています。

ニコンF2はその高い堅牢性から、スポーツ、報道、冒険、宇宙など様々所で使われ、活躍したカメラです。また、プロ機として、様々なアクセサリが用意されていたことも魅力のひとつと言えます。

ちなみに、カメラに付いているレンズはニコンEMが1980年(昭和55年)に発売された時に同時発売になった、AI Nikkor 50mm F1.8Sです。そのレンズの薄さからパンケーキレンズとも言われています。

小型レンズながら、鏡胴は一部プラスチックを使用していますが、マウントは金属を採用し、重量は175gと非常に軽量です。

修理内容

このNikon F2は、いわゆるショック品です。
通常、ショック品は修理ができないことが多く、お断りさせていただくこともあるのですが、今回は、状態を拝見して修理を承りました。

お客様のお話ではこちらのNikon F2は腰よりやや上くらいの高さからコンクリートへ落下させてしまい、その後、裏ぶたが開かなくなってしまったとのことです。

お客様のご希望は裏ぶたを開けて、撮影したフィルムを取り出し、裏ぶたが開閉できるようにして欲しいとのことです。

Nikon F2の裏ぶた開閉は通常の一眼レフカメラのように、巻き上げノブを引き上げて裏ぶたを開くのではなく、底面の裏ブタ開閉キーから行います。一見すると不便ですが、これは、裏ぶたを取り外し、フィルムマガジンを取り付けるための仕組みなんだそうです。

こちらのカメラは、裏ブタ開閉キーを回しても、引っ掛かりがなく、スカスカの状態です。もちろん、裏ぶたは開きません。

外観からは、裏蓋が開かない以外は特に不具合は見受けられない様子です。シャッターも切れており、コンクリートに落下した後も、写真を撮り続けることができたと思います。さすがは、ニコンF2です。

打痕

打痕が痛々しいですが、大きく破損しているわけではないので、裏ぶたが開閉できる状態まで修理できる可能性は高いです。

分解後、内部に大きく変形しているところは、ぱっと見、無い様子で、裏ぶたを留めている金属の板が上下しないことが、裏ぶたが開閉しない原因です。

分解してみると、内部パーツの一部に接着の剥がれがあり、パーツが落ちてきました。下の修理後の写真の1枚目の赤枠で囲った部分のパーツです。このパーツは、開閉キーの突起をここで止め、金属板を押し上げるための補助的な役割と思います。通常、このパーツには大きな負荷はかからないと思われますが、落下の際の衝撃で接着が剥がれたものと思われます。脱落したパーツは樹脂で固めて再接着しました。

次に、下の2枚目の写真の赤丸のネジについては落下の際に皿の部分が少し変形したようですが、ネジそのものには歪みはないので、パーツは交換せず、そのまま利用しました。皿の部分には金属板が上下して擦れるので、皿の部分を少し修正してスムーズに金属板がスライドするようにしました。

修理後

修理後は裏ぶたの開閉ができるようになりました。
しばらく時間を置き、最終的に微調整を行って修理完了となります。

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