NikkorレンズがAi化されたタイミングで、Nikomat FT2をAi化したNikomat FT3が発売されます。
FT3は、1977年(昭和52年)3月に発売されますが、ナント、その2ヶ月後の1977年(昭和52年)5月には、同じ機械式カメラでFT3よりも小型軽量化したNikon FMが発売され、FT3は短命に終わってしまいます。
しかし、Nikon FMでは得られない、ずっしりとした重量感や金属の質感は、Nikomat FT3オーナーの所有感を十分満たしてくれます。
FT3は一見、FT2を単純にAi化したように見えますが、Aiリングがある前板部分は設計し直されており、分解すると、銘板部分の作りが異なりことに気づきます。
修理内容
こちらのニコマートFT3は、プリズム腐食、電池室液漏れによる腐食などにより修理のご依頼です。
主な修理箇所
- シャッター速度点検
- 露出計精度調整
- 電池室腐食修理(部品交換)
- プリズム腐食修理(プリズム部品交換)
- 劣化モルト交換
- ファインダー分解清掃
- フィルム室清掃
- 外装清掃
- 各部注油
プリズム腐食
お客様から事前に、「カメラファインダ-に黒い靄みたいなのがあります」ということで、ご相談がありました
黒い靄の原因は、プリズムの腐食でしたので、プリズムの部品交換を行いました。
また、プリズム交換と合わせて、ファインダー部分を分解し、接眼レンズとフレネルレンズ、フォーカシングスクリーンの清掃を行っています。リターンミラーについては、分解せず、清掃を行っています。
露出計
露出計は、適正露出よりも、高照度、中照度時には半段程度のズレが生じており、低照度時に1段程度のズレが生じていましたので、精度調整を行っております。
電池室
電池室は腐食が酷く、電池室の金属部品にかなりの腐食がみられました。
この部品については、磨くことで再利用は可能でしたが、今回は、交換部品が調達できたため、部品交換を行いました。
仕様
型式 | 露出計内蔵 35㎜フォーカルプレンシャッター式一眼レフレックスカメラ |
使用フィルム | 35㎜フィルム パトローネ入り |
画面サイズ | 24x36㎜ |
シャッター | 上下走行式・メタルフォーカルプレンシャッター B 1 1/2 1/4 1/8 1/15 1/30 1/60 1/125 1/250 1/500 1/1000秒 等間隔目盛(シャッタースピードはファインダー内でも見える) セルフタイマー内蔵 |
ファインダー | アイレベル型、視野率92% |
ファインダースクリーン | スプリットマイクロ式(中央部ースプリット式3㎜⌀、外側リングーマイクロプリズム式1㎜巾の円) |
ミラー | クイックリターン式 |
巻上げ | レバー式 1作動 155度 露出計回路用スイッチと連動 |
絞り込み | ボディ上部の絞り込みボタンによる |
コマ数計 | 自動復元順算式 |
シンクロ接点 | MおよびX接点、自動切換え 1/125秒以下の低速においてスピードライドに同調 |
アクセサリーシュー | フラシュ接点付き(ホットシュー) |
露出計 | 可倒式露出計連動レバー フィルム面の中央部(12㎜円内)に届く光の強さを測りシャッターおよびしぼりに両連動する定点式CdS露出計(TTL方式)、定点の合致はファインダー内およびボディ上部より見える。 フィルム感度範囲 ASA12~1600 連動範囲 F1.4レンズ使用でASA100にセットした場合絞りf/1.4から絞りf/11で1/1000秒まで |
使用電源 | SR44(酸化銀電池) |
大きさ | 幅148mm x 高さ96mm x 奥行54mm |
重量 | 750g(ボディのみ、電池除く) |
発売年月 | 1977年(昭和52年)3月 |
発売価格 | 43,000円(ボディのみ) |
この修理レビューの目的は、修理をご依頼していただいたお客様に向けての修理内容のご紹介となっております。 こちらの修理ブログを見て、お問い合わせいただいたお客様の同一機種のカメラの修理をお約束するものではありませんので、あらかじめご了承ください。