F-1NAE-1の設計者が集まって開発されたのがNew F-1です。
FDマウント史上、最高で最後のフラッグシップフィルムカメラで、F-1の堅牢さに加え、AE対応した新システムで、1981年から1992年まで生産され、1996年まで販売されていました。

ちなみに、FDマウント最後のモデルは、国内ではCanon T90(1986年2月発売)ですが、海外では、T60(1990年4月)がFDマウント最後のモデルとなります。

1985年のミノルタの「αショック」から、オートフォーカス一眼レフが流行し、キヤノンもAFに対応したFDレンズを専用設計し、T80(1985年4月発売)に搭載しましたが、実験的な要素が強く、市場的には成功に至りませんでした。

1987年には、キヤノンも本格的なオートフォーカス一眼レフとして、EOS620EOS650を発表し、その後、急速にFDマウントからEOSマウントへ移行が進んでいきます。

仕様
型式35mmフォーカルプレーンシャッター式一眼レフレックスカメラ
マウントFDマウント
シャッター4軸式布幕フォーカルプレーンシャッター
機械式と電子式の両方を備えたハイブリッド方式のシャッター
シャッタースピード1/2000・1/1000・1/500・1/250・1/125、1/90(X接点)、Bは機械式
1/60~8秒が電子式
ファインダー着脱可能アイレベル式
倍率0.8倍、視野率97%
測光方式SPC素子使用
交換スクリーンのタイプにより、中央部スポット測光、中央部分測光、中央重点平均測光のへ選択が可能
測光連動範囲は、EV-1~18(ISO100:F1.4)
フィルム感度使用域ISO 6~6400
使用電源2CR-1/3Nリチウム電子(6V)、または4LR44アルカリマンガン電池を1個
大きさ幅147mm x 高さ97mm x 奥行48mm
重量795g
発売年月1981年(昭和56年)9月
発売価格149,000円(アイレベルファインダーFN付きボディ)
修理内容

こちらのキヤノンNew F-1は、クランクの紛失ということで、クランク部品の取り付けの依頼です。

Canon New F-1 フィルムカメラ修理

クランク部品については、お客様より部品取り用のカメラの提供がありましたので、こちらから部品を取り出して、交換を行っております。

クランク取り付け後の動作に問題はありません。

シャッター速度調整

測定器を使い、シャッター速度を測ったところ、高速側のシャッターでは、1段くらいズレが生じていました。

具体的には、1/1000秒が1/2000くらいでシャッターが切れている状態なので、実写された場合は、アンダー露出になってしまいます。

こちらについては、シャッター速度の調整を行いました。

調整後、シャッター速度は許容範囲内に収まっています。

レンズフード緩み

Canon New F-1 フィルムカメラ修理
レンズフードロック不良修理

レンズフードについては、緩みが生じており、フードがロックしない状態でした。

おそらく、このままレンズにフードを装着したまま使用すると、レンズフードが脱落する恐れがあるため、こちらについては、簡易的な修理を行いました。

ロック不良は、ロック部分に使用されている樹脂の摩耗が原因ですので、その箇所に樹脂を僅かに流し込み、レンズフードがロックするよう修理しました。

主な修理箇所

  • クランク部品交換修理
  • シャッター速度調整
  • レンズフード緩み修理
Canon New F-1 フィルムカメラ修理
Canon New F-1については、限定的な修理のみとなり、オーバーホールのような修理は承っておりませんので、あらかじめご了承ください。
この修理レビューの目的は、修理をご依頼していただいたお客様に向けての修理内容のご紹介となっております。
こちらの修理ブログを見て、お問い合わせいただいたお客様の同一機種のカメラの修理をお約束するものではありませんので、あらかじめご了承ください。