キヤノン demi EE17は、1966年(昭和41年)5月に発売された、35mmフィルムのハーフサイズ版のカメラです。
キヤノンお得意の、シャッタースピード優先式EEで、高仕様と高機能から多くのユーザーに愛用されたとのことです。
こちらのキヤノンdemi EE17は、某有名カメラ店に持っていったところ、フィルム巻き上げと同時にシャッターが切れてしまい、故障していると言われたとのことで、当店に修理依頼がありました。
カメラが到着して、動作確認を行いましましたが、状態はかなり悪く、不具合箇所がとても多いため、修理はかなり難航しました。
シャッター
シャッターについては、シャッターチャージを行っても、チャージロックが出来ず、シャッターが切れない状態でした。
こちらは、カメラを分解し、シャッターユニットを取り出して、原因を調べたところ、シャッター羽根の固着やシャッターに関連するガバナーやギア、レバー等のリンケージが固着しており、その影響でシャッターチャージが出来ず、シャッターも切れない状態でした。
固着状態は、かなり酷い状態で、固着している箇所を何度も清掃、注油を行いましたが、なかなかシャッターが正常に動作しない状態でした。
しかし、時間を掛けながら、固着している箇所を念入りに清掃、注油を繰り返すことで、シャッターは切れるようになり、組み戻して動作検証を行いました。
しかし、100回くらいシャッターを切ると一連のシャッター動作が途中で停止して巻き上げがロックしてしまい、シャッターが切れなくなる症状が出ました。
シャッター不良の状態から、その後、時間を置くと、再びシャッターが切れるようになりますが、やはり100回くらいシャッターを切ると再発します。
シャッター不良状態について、シャッターユニットの洗浄、注油を何度か繰り返しましたが、動作検証を行うと症状が再発します。
結論として、シャッター関連の部品の摩耗などが考えられるため、修理はシャッターユニットの部品交換を行いました。
巻き上げ不良
巻き上げレバーの戻りが悪かったため、清掃、注油を行いました。
修理後は、レバーの戻りも良くなり、正常に機能しましたが、時間の経過とともに、症状が再発し、結果的に、こちらも、巻き上げ部品の交換を行いました。
露出計動作不良
露出計は動作しない状態でした。
こちらは、電池の液漏れにより、カメラ内の配線内部が腐食していたため、配線の引き直しを行いました。
配線引き直し後、通電を確認し、露出計を動作させてみましたが、動作が不安定なため、こちらも、露出計関連の部品交換を行い、露出計は正常に動作するようになりました。
セルフタイマー
セルフタイマーは、レバーが全く動作せず、タイマーのセットが出来ない状態でした。
こちらは、セルフタイマーのレバー軸の固着やギアの錆、ギアの固着等が原因で、セルフタイマーが動作しない状態でした。
固着状態は特に酷く、指でレバーを回してもびくともしない状況でしたが、ギアの錆を取り、レバー軸やギアの固着している箇所を念入りに清掃、注油を繰り返すことで、セルフタイマーは正常に動作するようになりました。
主な修理内容
- シャッターチャージ不良修理
- シャッターユニット部品交換
- シャッターガバナー注油
- 露出計不動修理
- 露出計関連部品交換
- 露出計精度調整
- 電源配線引き直し(腐食の為)
- セルフタイマー動作不良修理
- セルフタイマー注油
- 巻き上げ関連部品交換
- レンズ分解清掃
- ボディ内部カビ腐食除去清掃
- 劣化モルト交換(ヒンジ、接眼)
- ファインダー清掃
- フィルム室清掃
- 外装清掃
この修理レビューの目的は、修理をご依頼していただいたお客様に向けての修理内容のご紹介となっております。 こちらの修理ブログを見て、お問い合わせいただいたお客様の同一機種のカメラの修理をお約束するものではありませんので、あらかじめご了承ください。