Canon AE-1

修理内容

こちらのAE-1は下記のような不具合があります。

・シャッター鳴きとミラーアップ
・絞り連動レバーの動作不良
・露出計のズレと絞り優先AE利用時の露出オーバー
・ミラーボックス内のダンパー部品の硬化
・シャッター速度が遅い

シャッター鳴きとミラーアップ

シャッター鳴きってナニ?
シャッター鳴きとはシャッターを切った際にミラーを上下させるギアの油切れにより、ギアの部分から異音が発生し、それがシャッターを切った時にシャッターが鳴いているように聞こえるので、一般的にその現象のことを「シャッター鳴き」と言っています。

シャッター鳴きが始まると、初めは異音だけですが、その内、ミラーの上下動作が緩慢になり、さらに悪化すると、ミラーアップしたままになってしまい、写真を撮ることができなくなります。

こちらの修理はミラーボックスを取り出して、異音の原因となるギア部分に注油を行います。

ミラーボックスを裏側から見たところ
赤枠部分のギアから異音が発生します。

シャッター鳴きの原因となるギアを拡大

インターネットでAE-1について、「シャッター鳴き」というキーワードで検索すると、その修理方法にミラーボックスを分解せずに、マウント側から油を注油するとシャッター鳴きが直るという内容の記事を見かけます。

実際にそれを行って、シャッター鳴きが直る場合もあるようですが、鳴いているギアにピンポイントで注油するのは、ギアが見えていない状態では、難しいと思われます。

また、油が、ギアに入ればいいですが、その他の部分に油が回ってしまうと、最悪、カメラが動かなくなることも考えられますので、あまりお勧めはできません。

絞り連動レバーの動作不良

絞り連動レバーと説明上、書いていますが、正式な名称では無いかもしれません。

シャッター鳴きとは違う異音がする時は、レンズの絞りの情報をカメラに伝える、絞り連動レバーの動きがおかしくなっていることもあります。

このレバーの動きが悪くなると、レンズを絞っても、絞り羽根が動作しません。

修理はミラーボックスを取り出して、絞り連動レバーを動かすギア部分に注油を行います。

絞り連動レバー
マウント側から見た時に、右側の赤枠部分がレンズの絞りの情報をカメラへ伝える連動レバーになります。

ミラーボックス裏側
ミラーボックス裏側の、絞り連動レバーにつながる赤丸部分のギアから異音が発生しています。

絞り連動レバーの鳴きもシャッター鳴きと同様、その修理方法にミラーボックスを分解せずに、マウント側から油を注油すると直るという内容の記事を見かけます。

ミラーボックス裏側の写真の上部に少し写っていますが、こちらは、鳴いているギアのすぐ近くに基板があるので、その部分に油が飛ぶと動作不良の原因になりますので、マウント側から油を注油することは、あまりお勧めはできません。

露出計のズレと絞り優先AE利用時の露出オーバー

こちらは、フレキシブル基板にある可変抵抗を使い、測定器で測りながら調整を行っていきます。

フレキシブル基板
赤枠で露出計の指針のズレを調整し、青枠でAE時の露出オーバーを調整します。

ミラーボックス内のダンパー部品の硬化

ミラーボックス内にシャッターを切った時に、ミラーアップの衝撃を和らげるダンパーがあります。

こちらの部品が経年劣化で硬化して、ボロボロと崩れ落ちて、カメラ内部に破片が落ちています。

ダンパーの破片がギアなどを噛んでしまうと、動作不良を起こすことが考えられますので、破片を回収し、ダンパーの交換を行います。

ダンパー部分
赤丸部分がダンパー
左が元のダンパー、右が交換したダンパー

シャッター速度が遅い

シャッター速度は測定器を使い、底面のギアを調整しながら、規定値内に合わせていきます。写真は撮り忘れたため、ありません。

AE-1修理後、シャッターを切ると、絞りはきちんと動作し、嫌な異音もなくなり、AE-1本来のシャッター音になりました。

ファインダー清掃も行ったので、視界もスッキリして、気持ちよく撮影ができると思います。

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