Canon AE-1 PROGRAM フィルムカメラ修理シャッター不良 巻き上げ不良 ASA100の時だけ露出計が異常反応 ボディシャーシや底蓋が金属腐食

型式	35mmフォーカルプレーンシャッター式一眼レフレックスAEカメラ シャッタースピード優先式AE・完全自動プログラムAE両用式
マウント	FDマウント
シャッター	全速電子制御4軸式布幕フォーカルプレーンシャッター
シャッタースピード	1/1000･1/500･1/250･1/60(X)･1/30･1/15･1/8･1/4･1/2･1秒( 以上白色) ･ 2秒(黄橙色) ・B(白色) ･ PROGRAM(緑色)
ファインダー	ペンタプリズムアイレベル式 倍率0.83倍、視野率=上下左右共実画面比94％
測光方式	受光素子使用のＴＴＬ式中央部重点平均開放測光（SPC使用）
使用電源	4LR44アルカリマンガン電池または4SR44酸化銀電池1個
大きさ	幅141mm x 高さ88mm x 奥行47.5mm
重量	575g
発売年月	1981年(昭和56年)4月
発売価格	60,000円(シルバーボディのみ) 63,000円(ブラックボディのみ)

こちらのキヤノンAE-1プログラムは、「シャッターに不備があり、フィルムの巻き上げができない」とのことで、修理依頼がありました。

主な修理内容

• シャッター鳴き修理
• 絞り鳴き修理
• シャッター幕軸注油
• シャッター速度調整
• 露出計精度確認
• ASA感度設定不良（接点腐食の為清掃）
• ASA感度つまみ引っ掛かり修理
• バッテリーチェッカーノイズ音修理
• 底蓋研磨再塗装（金属腐食の為）
• ボディシャーシ下部研磨（金属腐食の為）
• ミラーボックス内化粧板剥離塗装（キズの為）
• 劣化モルト交換
• ファインダー清掃
• フィルム室清掃
• 外観清掃

シャッターと絞り

シャッターは許容範囲内の速度が出ていましたが、やや速い速度だったため、より精度を上げるため、シャッター幕軸に注油後、測定器を使って、シャッター速度の調整を行いました。

また、シャッター鳴きと絞り鳴きの症状も見られたため、こちらは、注油を行いました。

露出計について

露出計は、ASA（ISO）100前後の時にのみ、大きくズレが生じていました。

この不具合は、ASA感度を設定する摺動抵抗の一部が腐食（写真の赤丸部分）していることが原因です。

この腐食部分が、ちょうどASA100くらいの箇所だったため、ASA100の時に露出計の反応に不具合が生じていました。

なお、ASA100以外の感度設定では、そのような症状は見られなかったため、腐食した接点を清掃することで、ASA100の感度設定でも、露出計は適正露出を示すようになりました。

ASA感度つまみ

ASA感度のつまみに引っ掛かりを感じましたので、つまみ部分の部品を分解し、つまみの動きを滑らかにするため、摩擦が生じる樹脂の箇所にシリコンコーティングを行いました。

コーティング処理後のつまみは、滑らかに動くようになりました。

バッテリーチェッカー

バッテリーチェッカーのボタンを押すと、ノイズ音が混ざることがあります。

これは、接点の汚れによるものでなので、接点の清掃を行いました。

接点清掃後は、ノイズ音は解消されました。

底蓋とボディシャーシ下部

底蓋を開けたところ、ボディシャーシ下部と底蓋に金属の腐食が見られました。

底蓋に少し砂が入っていたので、原因は、おそらく海辺近くでカメラを使用され、その時、僅かな砂が底蓋とボディシャーシが接する箇所に入り込み、その塩分で、金属が腐食したものと思われます。

現状、金属腐食は深刻な状態ではなく、また、カメラの動作に支障を来すようなものではありません。

ボディシャーシと底蓋の腐食については、腐食した箇所を研磨して落とし、底蓋については、元々塗装が施されていた箇所の、再塗装を行っています。