キヤノンA-1はエレクトロニクスの最先端技術を駆使し、徹底的にコンピュータ化した多機能のAE一眼レフカメラです。
プログラムユニットを介して5つのAEモードとマニュアル操作が選択できるしくみです。
こちらのキヤノンA-1は、長期間に渡り、カメラとレンズを使用していない状態で保管されていたと思われ、内外装共にカビや汚れなどが、かなり目立ちます。
カメラ自体も重度の不良が見られるため、分解して、不良箇所の修理と、清掃を行います。
主な修理内容
シャッター不良
シャッター幕がシャッターを切った後に元の位置に戻らない状態です。
こちらは、前板を外し、ミラーボックスやシャッター幕軸へ注油を行いました。
絞り連動不良
カメラ側のマウント部分にある、レンズに絞りを伝えるレバーの動きが非常に悪く、レンズを[F16]や[F11]などに合わせた後、絞り込みレバーを使っても、設定した絞り値まで絞り込めない状態です。
こちらは、レバーを可動させるギアの油切れが原因ですので、分解して注油を行いました。
ミラーボックス裏側
こちらは、ミラーボックスの裏側ですが、ミラーボックスを取り出して見てみると、色々と問題がありました。
すぐに目についたのは、リターンミラーの軸の背面の遮光材に、通常空いていないはずの穴が、二ヶ所空いていたことです。
おそらく人為的に穴があけられたものと思われますが、よく見ると、半田コテのようなもので溶かしたような感じです。
穴をあけた理由は分かりませんが、光漏れが起きるので、部品交換を行いました。
シャッターショックや消音用のダンパーが劣化して粉々に砕けていました。
こちらは、代替部品のダンパー交換を行いました。
電池蓋裏のモルトが劣化していたため、モルトの貼り替えを行っています。
ファインダーにカビが目立ちます。
こちらは、分解清掃となりますが、この後、別に説明します。
ファインダーカビ
ファインダーのフレネルレンズに虫が這ったような跡が見られます。
実際にカメラの中に虫を見た訳ではないので、虫が這ったかどうかは不明です。
こちらは、かなり気持ち悪いので、完全にファインダー部を分解して徹底的に清掃を行いました。
外装部分の汚れと細かな傷
時々、お客様から、「カメラの清掃をお願いします。」という依頼を受けることがありますが、じつは、一番面倒な修理がカメラの清掃です。
上記の写真は徹底的に清掃を行い、塗装が剥がれないよう、目の細かいコンパウンドを使い分けながら、磨き上げたトップカバーです。
元のトップカバーの状態は、塗装がくすんで、光沢が全くない状態でしたが、磨いた後は、写真からも分かるように、塗装面が反射するくらいピッカピカしているのが分かると思います。
何種類ものコンパウンドを使って、手で磨くため、かなりの時間と労力が必要な作業です。
主な作業内容は下記の通りです。
- シャッター鳴き修理
- シャッター幕軸注油
- シャッタースピード調整
- 絞りレバー注油
- ミラーボックス背面遮光材交換
- シャッター消音ダンパー交換
- 劣化モルト交換
- トップカバー汚れ、くすみ磨き
- シャッター幕カビ取り清掃
- ファインダー分解清掃
- シャッタースピード調整
- 露出計精度調整
- 裏蓋清掃
- レンズ清掃
- レンズフード清掃
型式 | 35mmフォーカルプレーンシャッター式一眼レフレックスカメラ |
マウント | FDマウント |
シャッター | 4軸式の布幕横走行フォーカルプレーン |
シャッタースピード | B・X・30~1/1000秒 全速電子制御式 |
ファインダー | ペンタ固定アイレベル式 倍率0.83倍、視野率=上下93.4%、左右95.3% |
測光方式 | TTL開放中央重心平均測光/TTL絞り込み測光(SPC使用) |
電源 | 6Vの4G-13型酸化銀電池又は4LR44アルカリマンガン電池1個 |
大きさ | 幅141mm x 高さ92mm x 奥行48mm |
重量 | 620g |
発売年月 | 1978年(昭和53年)4月 |
発売価格 | 83,000円(ボディのみ) |
この修理レビューの目的は、修理をご依頼していただいたお客様に向けての修理内容のご紹介となっております。 こちらの修理ブログを見て、お問い合わせいただいたお客様の同一機種のカメラの修理をお約束するものではありませんので、あらかじめご了承ください。