PENTAX MG

PENTAX MG フィルムカメラ修理
PENTAX MG

今日はペンタックスMGのフィルムカメラ修理をご紹介します。

ペンタックスMGは、絞り優先AE搭載、Mシリーズ最後のモデルです。

1982年に発売され、ボディのみ、シルバーは40,000円、ブラックは42,000円でした。

6つの特長

当時のカタログを見ると、6つの特長があげられています。

シャッターダイヤルは3ポジションだけ。

PENTAX MG
シャッターダイヤル [AUTO] [100X] [B] の3ポジション

MGはペンタックスMEのリニューアルモデルですが、シャッターも同じ構成で、AUTOと100X(ストロボ同調)とB(バルブ)だけというシンプルなものです。
100XとBはメカニカルシャッターを採用していますので、電池が切れても緊急的にシャッターを切ったり、バルブでの天体撮影も電池容量を気にせず安心です。

正確な自動露出を支える精密電子回路。

PENTAX MG
露出計基板

この頃になると、露出計の精度や耐久性も上がり、電子基板もIC化してコンパクトなものになってきます。

明快なクリアーブライトマットスクリーン。

PENTAX MG
フォーカシングスクリーン

原理さえわかれば露出補正は難しくない。

PENTAX MG
露出補正ダイヤル

MGの露出補正はとてもシンプルなものです。
フィルム感度の数字を半分にすればプラス1段、2倍にすればマイナス1段となります。

信頼性の高いペンタックスKマウント。

PENTAX MG
PENTAX Kマウント

レンズ交換はワンタッチのバヨネット式。制度が高く堅牢で、重い望遠レンズなどをつけてもガタを生じにくいことが特長。
このクラスでも妥協がないマウントの堅牢さに好感が持てますね。

独自のマジックニードル式スプール。

PENTAX MG
マジックニードル式スプール

どの位置でもフィルムの端をさし込むだけでOK。ニードルが白く暗い所でも見やすい。手さぐりでも確実に装填でき、誰でも素早くフィルム交換をすることができる。

修理内容

こちらのMGは、ミラーアップしているため、シャッターが切れません。

PENTAX MG フィルムカメラ修理
分解中

ミラーアップ修理

ミラーアップの原因ですが、こちらはミラーボックス内にあるシャッター消音用ゴムの劣化と、ミラーボックス内の錆が動作不良の原因と思われます。

消音用ゴムは、本来、リターンミラーの動作時に発生する音を吸収するため、レバー軸をゴムで覆っているものです。

そのゴムが経年劣化により粘ってしまい、その影響で、レバー軸の動きが悪くなり、リターンミラーの動作に支障をきたします。

ミラーボックス内の錆については、レバー等の一部に錆が生じていたため、その影響でレバーの動きが悪くなっている様子でした。

錆た部分については、レバー類の部品を取り外し、錆を取り除いた後、磨いています。

磨く前と後では、明らかにリターンミラーの動作は良くなりましたが、時々、ミラーにやや緩慢な様子がみられたため、ミラーボックスの一部の部品については交換を行いました。

部品交換後は、リターンミラーの動作に緩慢さもみられず、問題なくシャッターは切れるようになりました。

シャッター速度調整

シャッター速度は、測定器で測ると、遅かったため、速度調整を行っております。

シャッターユニット注油

シャッターユニットはボディシャーシから取り出して、注油を行い、その後、組み戻しています。

巻き上げレバー軸注油

巻き上げレバー軸については、注油を行っております。

露出計調整

露出計は測定器を使って測りました。

露出計は適正露出よりも、1段程ズレていましたので、調整を行っております。

露出補正ダイヤル修理

露出補正ダイヤルが緩く、軽くダイヤルに触れただけで動いてしまう状態でしたので、修理を行っております。

修理後も、露出補正ダイヤルは、やや緩さが残っていますが、修理前に比べて改善はされていると思います。

セルフタイマーギア注油

セルフタイマーのギアへ注油を行っております。

フィルムガイドレール腐食清掃

フィルムのガイドレールにかなり腐食が目立ちました。

おそらく、このままの状態では、フィルムを巻き上げた際、引っ掛かりが生じてコマズレを起こす可能性があるため、ガイドレールについては腐食清掃を行っております。

ファインダー分解清掃

ファインダーはアイピースとプリズム、フォーカシングスクリーンに分解して、各々清掃を行っております。

アイピースについては、アイピース枠から接眼レンズを取り出して、レンズ清掃を行っております。

フォーカシングスクリーンについては、清掃では完全には汚れは落ちないため、洗浄を行っております。

プリズムについては、中央部分に腐食が見られるため、部品交換を行っております。

PENTAX MG
プリズム腐食(中央部分)

劣化モルト交換

PENTAX MGのモルトはカメラ内部に多数のモルトが貼られいます。

そのため、モルトが劣化すると、細かなゴミがカメラ内部に発生してしまい、ファインダー内にゴミが見えたり、ゴミがギアに入り込んで、カメラ動作に悪影響を及ぼしたりします。

劣化したモルトについては、カメラを分解して除去し、清掃を行った後、新しいモルトに貼り替えを行っております。

貼り替えたモルトの箇所は、フィルム室、リターンミラー、ボディシャーシ、シャッターユニット、アイピース枠下、露出計窓、露出計基板です。

レンズ分解清掃

レンズはsmc PENTAX-M 50mm f2のレンズが装着されています。

こちらのレンズについては、前玉と中玉、後玉にカビが見られました。

前玉と中玉のレンズについては、おおむねカビの除去はできましたが、後玉については、残念ながら、レンズのコーティング層までカビが浸食しており、清掃してもカビを除去することが出来ませんでした。

主な修理内容は下記の通りです。

・ミラーアップ修理
・ミラーボックス部品交換
・シャッター速度調整
・シャッターユニット注油
・巻き上げレバー軸注油
・露出計調整
・露出補正ダイヤル修理
・セルフタイマーギア注油
・フィルム室清掃
・フィルムガイドレール腐食清掃
・外観清掃
・ファインダー分解清掃
・プリズム部品交換
・劣化モルト交換
(フィルム室、リターンミラー、ボディシャーシ、シャッターユニット、アイピース枠、露出計窓、露出計基板)
・レンズ分解清掃
この修理ブログの目的は、修理をご依頼していただいたお客様に向けての修理内容のご紹介となっております。
こちらの修理ブログを見て、お問い合わせいただいたお客様の同一機種のカメラの修理をお約束するものではありませんので、あらかじめご了承ください。

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