YASHICA Snap

今日はヤシカ スナップのフィルムカメラ修理をご紹介します。

ヤシカと言えば、エレクトロ35シリーズが知られていますが、エレクトロ35シリーズはボディが大きく、がっちりしているため、プラスチックボディで小型軽量、単焦点レンズにゾーンフォーカス、オート撮影が手軽にできるこちらのカメラも人気があります。

主な仕様
レンズ:YASHICA LENS 38mm F2.8(3群3枚)
シャッター速度:1/60~1/360秒
ピント合わせ:目測式(4点ゾーンフォーカス)
受光素子:CdS
サイズ:118×72×54mm
重量:約280g
電池:H-C(MR44)型水銀電池 1個
定価;19,800円

スナップは1978年(昭和53年)に発売されたヤシカのコンパクトカメラ3機種のうちの1つで、他にダイアリーとフラッシャーがありました。

ダイアリーはデート機能+フラッシュ内蔵、フラッシャーはフラッシュ内蔵、スナップはデート機能やフラッシュも内蔵されておらず、最もシンプルなカメラとなっています。

おしゃれ?な点としては、レリーズボタンの周りのカラーにバリエーションがある点です。

レリーズボタン周りのイエローに注目!!

修理概要

・シャッター不良修理
・電池室腐食
・レンズのカビ清掃
・無限遠調整
・露出計調整
・露出値確認
・劣化モルト交換
・ファインダー清掃
・フィルム室清掃
・外装清掃

修理内容

こちらのヤシカ スナップは、お客様のお話では、「長年押入れにしまってあったもので、モルト劣化が目立っています。稼働するかどうかの確認も含めて可能でしたらお願いしたいと思っています。」とのことでした。

カメラの状態を確認すると、ご指摘の通り、モルトの劣化が、かなり進んでいる様子です。

モルトは少し変わった形をしていますので、その形に合うよう、切り出して交換を行いました。

その他に、動作に関わる不具合がいくつかありました。

露出計(AUTO)不動

1つめは、露出計(AUTO)が全く動作しないことです。
AUTO撮影は、このカメラでは、必須の機能と思われます。

電池室に電池を入れる前から、電池室が腐食していたので、予想された不具合です。
ひとまず、電池室内を清掃してみましたが、通電しません。

底蓋を開けて状態を確認します。

底蓋を開けた状態

写真の通り、リード線と端子をつなぐ半田部分が腐食しています。
腐食した半田をはがし、端子を磨き、配線をテスターでチェックした後、再度半田を付けて確認したところ、通電して露出計が動作しました。

露出計は調整も行っています。

シャッター兼絞り羽根の動作が緩慢

2つめは、絞りが開放近くになると、シャッター兼絞り羽根の動作が緩慢(引っかかる?)になり、素早くシャッターが切れません。

修理は、レンズボードを外して、固着したシャッターアームの清掃を行います。

まずはトップカバーを外します。

ねじは全部で6本外せば、トップカバーを外せます。
3本のねじは露出しているので、すぐに分かりますが、残りの3本は隠しねじになっています。
隠しねじはホットシュー下にあります。

ねじ6本を外しても、まだ、引っ掛かかる箇所があります。
これは、隠しねじではなく、ファインダーからピント位置を確認する窓の一部がボディに引っ掛かっているためです。
トップカバーを外すには、この箇所を少し浮かしながらトップカバーを上に持ち上げます。

トップカバーを外した状態

レンズボードを外すには、セルフタイマーを外し、貼り革をはがすと、ねじ4本が出て来ますので、それを外します。
今回は、レンズボードは完全に分離する必要は無いので、上下、必要な箇所のみ半田をはがします。

レンズボードを外した状態

固着したシャッターアームの清掃を行ったところ、問題なく、シャッターは開閉するようになりました。

レンズ内のカビ

3つめは、レンズ内のカビです。

こちらは、前面からアクセスし、レンズをヘリコイドから抜き、レンズ群を分解して、清掃を行いました。

レンズを取り出した状態

レンズを抜くと、ピント調整が必要になりますので、無限遠の調整を行っています。

こちらの記事の目的は、修理をご依頼していただいたお客様に向けての修理内容のご紹介となっております。
こちらの記事を見て、お問い合わせいただいたお客様の同一機種のカメラ修理をお約束するものではありませんので、あらかじめご了承ください。