PEN EESの後継機種
EESから変更点は、フィルム感度設定がASA(ISO)200の上限から400までになり、ゾーンフォーカスは、EESは3点調整式だったものが、4点調整式に変更、そして、アクセサリーシューが装備されました。
また、裏蓋も取外し式から蝶番式に変更になり、より使いやすくなっています。
こちらのオリンパスペンEESは、長期間使用していなかったため、写真撮影が可能な状態にして欲しいとのことで、修理依頼がありました。
カメラをお預かりしたところ、過去に分解がされている様子で、トップカバーのネジが欠品していたり、全く異なるネジが取り付けられていたりしていました。
また、レンズやファインダーにはカビが目立ち、赤ベロも動作しない状態でした。
主な修理内容
・赤ベロ(低照度時警告板)動作不良修理
・レンズカビ取り分解清掃
・鏡胴固定ねじ調達取り付け
・無限遠調整
・劣化モルト交換
・ファインダー分解清掃
・絞り羽根清掃
・フィルム室清掃
・外装清掃
・各部注油、グリスアップ
赤ベロ
暗い所でも赤ベロが出ず、シャッターが切れてしまう状態でした。
こちらは、修理を行い、機能回復しています。
原因は、赤ベロを動かすアーム部分が固着しており、光量不足時にアームが動作しないため、赤ベロが出ない状態でした。
修理は、アーム部分の固着を取り除くことによって、光量不足時に赤ベロが出るようになりました。
トップカバー
トップカバーの巻き戻しクランク側のネジが欠品しており、トップカバーの半分が分解状態でブラブラしています。
ネジを調達して締め直しました。
レンズ
全てのレンズ玉において、かなりカビが付着していたため、すべて分解して、清掃を行いました。
清掃後は、カビも除去でき、レンズは、クリアな状態になっております。
レンズ鏡胴
レンズ鏡胴とは、いわるゆレンズの筒の部分を指します。
鏡胴は、レンズシャッターにねじ止めされていますが、このネジに、本来のネジとは全く異なるかなり長いネジが使われていました。
PENシリーズはこれまで、かなり分解修理を行っていますが、いままで、見たことの無いくらい、サイズが長いネジで、明らかに別のネジを流用したことが伺えたため、組込み時に元のネジは使わず、こちらに合ったサイズのネジに変更しました。
絞り羽根
絞り羽根に汚れが付着していたため、分解して、清掃を行っています。
ファインダー
ファインダーは、カビや汚れがあったため、清掃を行いました。
清掃後、ファインダーは、お預かりした時と比べると、かなりクリアな状態になりました。
形式 | ハーフサイズレンズシャッターカメラ |
レンズ | D.ズイコー F2.8 f=30mm |
シャッター | 1/30秒、1/250秒、X接点 |
ファインダー | ブライトフレームファインダー |
フィルム捲上 | リアー・ワインディング・システム セルフコッキング、自動捲上、二重露出防止、二重捲上防止 |
フィルム捲戻し | クランク式 |
フィルム装填 | ELシステム(イージー・ローディング) |
撮影コマ数計 | 残数式 |
焦点調節 | 4点調節式 (ゾーンフォーカス)1m、1.5m、3m、∞ |
露出調節 | 露出計による自動調節(EE) |
自動調節に使用されるフィルム感度 | ASA10~ASA400 |
フラッシュ撮影用手動絞り付き | F2.8~F22 |
アクセサリーシュー | ダイレクトコンタクト接点式 |
裏蓋開閉 | 蝶番式 |
大きさ | 不明 |
重量 | 不明 |
発売年月 | 1968年(昭和43年)3月 |
発売時価格 | 12,800円(ケース付) |
この修理レビューの目的は、修理をご依頼していただいたお客様に向けての修理内容のご紹介となっております。
こちらの修理ブログを見て、お問い合わせいただいたお客様の同一機種のカメラの修理をお約束するものではありませんので、あらかじめご了承ください。