OLYMPUS PEN D2
仕様
形式 ハーフサイズカメラ レンズ F.ZUIKO 32mmF1.9(4群6枚) フォーカス 目測式、最短撮影距離0.8m シャッター B、1/8秒、1/15、1/30、1/60、1/125、1/250、1/500秒 機械式レンズシャッター 大きさ 幅106mm x 高さ68mm x 奥行51mm 重量 405g 発売年月 1964年(昭和39年)9月 発売価格 15,800円(ケース付) 修理内容
こちらのPEN D2は、「シャッターが粘っているようで速度が出ていないように思われる」とのことで修理依頼がありました。
カメラをお預かりして、分解して見たところ、過去に修理を行った形跡が見れました。
その修理の形跡を見ると、おそらく、素人の方の修理と思えるような、少しトリッキーな修理が目を引きました。
下記に、そのトリッキーな過去の修理方法を含め、書き記します。
巻上げ軸
まず、過去の修理で驚いたのが、巻上げ軸のネジ折れ部分でした。
巻上げ軸には、巻上ノブがネジ止めされていますが、そのネジは、逆ネジとなっており、初めて修理を行なう方の何人かは、そのネジを順ネジと勘違いして回して、折ってしまうことがあります。
以前修理された方も、おそらく、順ネジと勘違いしてネジを折ってしまったものと思われますが、その後の修理方法に問題がありました。
この以前の修理では、巻上げ軸のネジが折れてしまったことで、巻上ノブがネジ止めできないことから、大量の強力な接着剤を流し込んで、折れたネジを無理矢理、接着しただけの修理でした。
ネジ穴には、かなりの接着剤が流し込まれた様子が伺え、そこに折れたネジの頭を乗せ、さらにそこから大量の接着剤を塗って固められていました。
また、巻上げ軸の中に入っているバネについても、バネが変形している状態で、何やら、巻上げ軸を取り出そうした痕跡が伺えます。
こちらの修理については、巻上げ軸の部品交換と、折れたネジ(巻上ノブの固定ネジ)の部品交換、そして、巻上げ軸の中のバネの部品交換を行いました。
鳩の金属板
巻上げ時に、カチッカチッというクリック音を出すための部品が、鳩の姿に似ていることから、そのように勝手に呼んでいます。
この鳩の金属板のくちばし部分が折れてしまっており、部品を交換しないまま、組み上げいました。
この金属板については、部品交換を行い、無事、鳩のくちばしは元の通りに戻り、カチッカチッとクリック音が鳴るようになりました。
シャッター
シャッターについては、シャッター羽根が軸からはずれてしまっており、ばらけていました。
PEN Dシリーズのレンズシャッターの羽根がばらけるのは、時々見かけますので、珍しいことではありません。
経年劣化により、グリスなどの油やゴミなどが羽根に付着して、羽根の動きが悪くなり、シャッターを切ったタイミングで、羽根の開閉タイミングがズレて、羽根がばらけることがあります。
修理は、初めに、ばらけた羽根を取り出し、羽根の洗浄とレンズシャッターの清掃を行い、組み戻して動作を確認しましたが、やはり動作が不安定でした。
シャッター羽根を見ると、羽根の軸穴周辺に羽根の折れが見られたため、シャッター羽根の交換を行いました。
シャッター羽根の交換後は、バルブを含め、全速度域において安定動作するようになりました。
露出計
露出計の精度については、2段程のオーバー露出を示していました。
こちらは、適正露出を示すよう、固定抵抗を調整しました。
露出計の配線については、過去の修理において、配線を切ってしまったようで、切断した配線の一部が残されたまま、元の配線を半田付けしています。
配線を切断した影響で、配線の取り回しが少しキツイ状態でしたので、こちらは、古い配線を除去(切断した配線の残りも除去)し、新しい配線を引き直しました。
電池室からつながる配線の半田付けについては、少し雑な感じで半田が付け直しされていました。
配線を付け直そうとしたのかもしれませんが、全部分解しないと配線の引き直しが出来ないため、断念したのではないでしょうか。
主な修理内容は下記の通りです。
・巻上げ軸部品交換
・巻上げ軸ネジ部品交換
・巻上げ軸バネ部品交換
・巻上げクリック部品交換
・露出計用配線引き直し
・露出計精度調整
・劣化モルト交換
・裏蓋ガイドレール緩衝材交換
・レンズシャッター分解清掃、注油
・レンズ分解清掃
・絞りリング清掃
・シャッターリング清掃
・ファインダー清掃
・フィルム室清掃
・外装清掃
こちらの記事を見て、お問い合わせいただいたお客様の同一機種のカメラ修理をお約束するものではありませんので、あらかじめご了承ください。