Nikon F Photomic FTN

Nikon F Photomic FTN フィルムカメラ修理

仕様

形式機械式35㎜フォーカルプレーン一眼レフ
シャッターチタン幕横走りフォーカルプレーン
測光方式TTL中央部重点測光
シャッタースピード1~1/1000秒・B・T
マウントNikon Fマウント
大きさ幅147.2mm x 高さ102.8mm x 奥行66.5mm
重量860g
発売年月1968年(昭和43年)9月
発売価格57,700円(ボディのみ)19,500円(ファインダー単体)

修理内容

Nikon F Photomic FTN フィルムカメラ修理

こちらのニコンFは、長期間保管されたていたため、オーバーホールのご依頼です。

修理歴

こちらのカメラは過去に修理をされた形跡が見られます。

修理の内容として確認出来るのは、シャッター速度の調整などで、オーバーホールのような重修理ではなく、部分的な修理と思われます。

シャッター速度の調整では、シャッター幕軸を調整ネジを使って調整しますが、調整後に調整ネジ動かないようにするため、止めネジを利用し、この止めネジにネジロック剤を塗布して固着しておきます。

しかし、過去の修理ではこの止めネジへのネジロック剤の塗布を忘れていたようで、ネジロック剤は綺麗に取り除かれたままの状態でした。

今回の修理は、シャッター速度の調整を行っていますが、調整後には、止めネジにネジロック剤の塗布を行っています。

シャッター不調

撮影に影響が出ると思われる大きな不具合としては、スローシャッターの不調と高速シャッターの幕被り、シャッター速度のズレが見られました。

スローシャッターについては、1秒のシャッターを切った際、シャッター動作が途中で停止することがありました。

スローシャッターの不調は、スローガバナーが原因の場合が多いため、こちらは、カメラを分解してスローガバナーを取り出し、スローガバナーの洗浄を行い、必要な箇所へ注油をした後、スローガバナーを組み戻して調整を行い、正常にスローシャッターは切れるようになりました。

高速シャッター(1/1000秒)は、測定器で測ると、幕被りのエラーが出ていました。

シャッター幕のテンション調整およびシャッター速度の調整を行うことで、幕被りは無くなり、シャッター速度は許容範囲内の速度に収まりました。

フォトミックFTNファインダー

Nikon F Photomic FTN ファインダー フィルムカメラ修理

フォトミックファインダー内にあるプリズムは、ひび割れが見られました。

ひび割れは、普通に覗いた時には気になりませんが、少し視線を下側にずらしてファインダーを覗くと下部にそのひび割れが確認できます。

ファインダーを分解してプリズムの状態を確認しましたが、特にはガラスの破片も無く、ピント合わせにも支障は無いため、今回はこのままの状態で組み戻しました。

ファインダーの内部には、緩衝や遮光目的での遮光材(モルト)が貼られていますが、経年劣化で加水分解が進んでおり、おそらくもうしばらくすると、モルトが被せてあるプリズムの一部から腐食が始まる状態でした。

今回は、ファインダー内部のモルトについても、除去、清掃を行い、新しいモルトへ貼り替えを行っています。

露出計の状態については、測定器を使い光の明暗差を3段階に分けて測りました。測定結果から、高照度時に半段程度ズレは見られますが、通常の撮影では、露出計通りに撮影しても、おおむね問題がない露出の値を示しています。

こちらのフォトミックFTNファインダーはおそらく、過去に調整修理が行われていると思われ、半田付けを後から行ったような、付け直しが見られました。

また、露出計の調整を行う、可変抵抗が最大まで回されており、これ以上は、ほぼ調整が出来ない状態でした。

フォトミックFTNファインダーで利用する電池は、水銀電池 「MR9(H-D)」を利用しますが、水銀電池については、環境問題から現在、生産が行われていません。

代替電池として、現在、水銀電池 「MR9(H-D)」と同じ形の電池は入手できますが、電圧が異なるため、露出計を利用する場合は、SR41電池と電池アダプターを使い、電圧を変えて利用するのが一般的です。

New Nikkor 50mm F2 Ai改

こちらのレンズは、New Nikkorというタイプのレンズです。

それまでのニコンのレンズの外観はピントリングも含め金属製でしたが、New Nikkorからは、ピントリングにゴムが装着したタイプに変更されました。

また、このレンズは、本来、絞り機構が、AI非対応(非Aiレンズ)のレンズですが、Ai化のための改造(Ai改)が行われています。Aiや非Aiとは、ニコンのレンズの絞り連動の仕組みのことです。

Nikon F Photomic FTNは非Aiレンズ、Ai対応レンズ共に利用可能ですが、Ai対応レンズについては、ツメが取り付けらえたもののみとなります。

レンズについては小さなカビが見られましたので、分解清掃を行い、ヘリコイドについては、グリスアップを行っています。

レンズの先端部分(フィルター取り付け部分)に少し歪みが見られ、レンズの分解、組み立て時に、少し引っ掛かりが生じていますが、レンズ動作には影響はなく、実際の撮影にも影響は無いと思います。

主な修理内容は下記の通りです。

・スローシャッター不良修理
・シャッター幕軸注油
・スローガバナー分解洗浄注油
・シャッター速度調整
・劣化モルト交換
・ミラーボックス内清掃
・フォーカシングスクリーン分解清掃
・フィルム室清掃
・外観清掃
・ファインダー分解清掃
・露出計点検
・レンズ分解カビ取り清掃
・レンズヘリコイドグリスアップ
こちらの記事の目的は、修理をご依頼していただいたお客様に向けての修理内容のご紹介となっております。
こちらの記事を見て、お問い合わせいただいたお客様の同一機種のカメラ修理をお約束するものではありませんので、あらかじめご了承ください。