RICOH GR1v

今日は、リコーGR1vのカメラ修理(モルト交換)を紹介します。

GR1は、1994年に発売された同社のリコーR1というコンパクトカメラが起源になるそうで、GR1の開発には、写真家の田中長徳さんの意見が取り入れられているらしいです。

GR1vは、GR1のコンセプトを受け継ぎ、モデルチェンジを経て、2001年に発売されたシリーズ最後の機種となります。

手になじむコンパクトサイズで、マグネシウムダイカストボディによる高い質感と一眼レフのレンズにも引けを取らない写りは撮影する人の気持ちを高揚させます。

修理内容

こちらのGR1vはモルトの交換依頼となります。

GR1vのモルトは、発売から18年近く経過しているため、多くのGR1vでモルトの劣化が見られます。

モルトを指で押すと弾力も無く、かなり劣化が進んでいる状態です。
撮影状況によっては、フィルム窓から光が入ってしまう場合もあると思われます。

裏蓋を開けたところ
赤枠がモルトの箇所(交換後)

フィルム窓のモルト部分(交換後)

モルトの交換はユーザー自身でも可能と思われますが、道具を揃えたり、きれいに貼り替えたりなど、作業が面倒な場合は、当店へ修理をご依頼ください。

露出の点検

今回は露出の点検も行いました。

露出は測定器を使い、光源の明暗を分けて測ります。
光源はLV(輝度値)にて表し、LV15(快晴)、LV12(曇り)、LV9(明るい部屋)、LV6(廊下)と撮影環境の明暗を変えて測定可能です。

露出の明るさを示す数値としては、EV値というものがあり、その値が±0.00の場合が、適正露出となります。

◆[P]モード測定
GR1vはISO設定がありますので、ISO 100の設定を行って測定しております。

LV15(快晴)   :+0.39EV(1/125-1/250)
LV12(曇り)   :+0.35EV(1/60 -1/125)
LV9 (明るい部屋):+0.23EV(表示範囲外)
LV6 (廊下)   :-0.52EV(表示範囲外)

( )はカメラのファインダー情報から得られるシャッター速度表示となります。
表示範囲外は、ファインダー情報から適切なシャッター速度が表示されていない状態となります。

◆[P]モードの測定結果について
EV値の結果を見ると、LV6の時を除き、絞り1/4~1/3段程度オーバーで撮影が行われています。
中速域から高速域のシャッター速度まで、EV値の変化も少なく、良好な露出結果を得られているものと思われます。

測定結果から、[P]モード時の手持ち撮影時には、ほぼ露出補正を行わなくても問題は無いかと思われます。
もし、露出補正する場合はダイヤルをひと目盛りマイナス側にずらす程度で良いかと思われます。

◆絞り優先AEモード測定
手持ち撮影限度のシャッター速度1/30以上を測定します。
[P]モード測定と同様ISO設定を100にして測定しております。
下記の左側はLV値に対して適正露出(EV値±0.00)となるシャッター速度と絞り値を示しています。

LV15(快晴)
1/500 F8 :+1.00EV(1/250 – 1/500)
1/250 F11:+0.46EV(1/125 – 1/250)
1/125 F16:+0.17EV( 1/60 – 1/125)
1/60 F22:+0.12EV( 1/30 – 1/60)

LV12(曇り)
1/500 F2.8:+1.41EV(表示範囲外)
1/250 F4 :+0.61EV(1/250 – 1/500)
1/125 F5.6:+0.27EV( 1/60 – 1/125)
1/60 F8 :+0.16EV( 1/30 – 1/60)
1/30 F11 :+0.10EV(表示範囲外)

LV9(明るい部屋)
1/60 F8 :+0.21EV( 1/30 – 1/60)
1/30 F11 :+0.20EV(表示範囲外)

( )はカメラのファインダー情報から得られるシャッター速度表示となります。
表示範囲外は、ファインダー情報から適切なシャッター速度が表示されていない状態となります。

◆絞り優先AEの測定結果について
絞り優先AEで撮影した場合、こちらのカメラの露出は、ややばらつきがあるようです。
高速側のシャッター速度(1/500秒と1/250秒)では、適正露出よりもオーバー気味で撮影がされます。

測定結果から、絞り優先AE利用時は、高速側のシャッター速度では露出補正ダイヤルを1つまたは2つマイナス側にずらし、中速側のシャッター速度では、露出補正を行わずに撮影すれば、ほぼ適正露出で撮影ができます。

測定器を使った露出診断では、通常の撮影でははっきりとは分かりにくい、ご自身のカメラの露出の状態を、数値で確認することが可能です。実際の撮影で、どのくらい露出補正を行えば、適正露出になるかの目安となります。

なお、GR1シリーズの修理については、ブログで紹介しているモルト交換以外の修理は受け付けておりません。あらかじめご了承ください。

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