何度か試しに動かしているうちに、ミラーが戻らなくなってしまったとのことで、実際に写真が撮れる状態に修理できないかと修理依頼がありました。
修理内容

ミラーアップ
ミラーアップは、シャッター周りの油切れが原因で、一連のシャッター動作が途中で停止したため、ミラーアップを起こしたと思い修理を進めていました。
ひとまず、ミラーアップを直して、巻き上げに関連するリンケージの嚙み合わせを直したところ、シャッターは切れるようになりました。
シャッターが動作してから、検証のため、シャッター動作の確認を行っていたいましたが、特に問題が無い状態が続いたため、その他の部分の修理に入ろうとシャッターを切ったところ、突然、シャッターが切れなくなりました。
しかし、しばらくすると、再びシャッターが切れるようになったため、油切れによる影響かと考え、再度、その他の修理を再開しようとし、何度かシャッターを切っていたところ、再び、シャッターが切れなくなりました。
このシャッター不良の再発は、明らかに油切れでは無いと判断し、カメラをさらに分解して、原因を探っていったところ、元々、欠品があった、Xシンクロターミナルの部品の一部がカメラ内部に入り込んでいました。



ミラーボックスを外した時にはこのリングは、幕軸の奥の方に隠れていました。
写真はこのリングを引っ張り出した状態の時のものです。
外れた部品を取り除くことで、シャッターは切れるようになりましたが、シャッタースピードを測定器で測ったところ、かなり狂いが生じている状態でした。
シャッタースピード
シャッタースピードはかなり狂いが大きく、およそ3~4段くらい遅い状態でした。
シャッタースピードを調整する前に、シャッター幕軸とスローガバナーへ注油を行い、油が浸潤した後、測定器を使って、シャッタースピードの調整を行いました。
調整後は、シャッタースピードは全速、許容範囲内の速度に収まっております。
Xシンクロターミナル部品調達取り付け
部品が外れて欠品となっていた、Xシンクロターミナルについては、部品を調達して取り付けを行いました。
修理内容まとめ
- ミラーアップ修理
- シャッター不良修理
- シャッター幕軸注油
- スローガバナー注油
- シャッタースピード調整
- Xシンクロターミナル部品調達取り付け
- 露出計精度調整
- ファインダー分解清掃
- 貼り革貼り直し
- 劣化モルト交換
- フィルム室清掃
- 外装清掃
PENTAX SP 仕様
型式 | 35㎜フォーカルプレーンシャッター式一眼レフ |
マウント | M42マウント(スクリューマウント) |
シャッター | 機械式布幕横走りフォーカルプレーン |
シャッタースピード | B・1~1/1000秒 |
ファインダー | ペンタプリズム固定 ファインダー倍率0.88倍(視野率93%) |
測光方式 | 平均測光式 TTL露出計内蔵(CDS(硫化カドミウムフォトダイオード)) |
使用電源 | 1.3V水銀電池x1個(H-B型) |
大きさ | 幅143mm x 高さ92mm x 奥行87mm |
重量 | 868g |
発売年月 | 1964年(昭和39年) |
発売価格 | 51,000円(50mmF1.4付) |

この修理レビューの目的は、修理をご依頼していただいたお客様に向けての修理内容のご紹介となっております。
こちらの修理ブログを見て、お問い合わせいただいたお客様の同一機種のカメラの修理をお約束するものではありませんので、あらかじめご了承ください。