PENTAX MX
今日はペンタックスMXのカメラ修理をご紹介します。
ペンタックスのMシリーズを年代別にみると以下のようになります。
1976年 MX <<< ココ!!
1976年 ME
1979年 MV1
1979年 ME SUPER
1981年 ME F
1982年 MGMXはMEと同じ年に発売されましたが、MXは11月、MEは12月なので、MXはMシリーズの初号機と言えます。
そして、Mシリーズの中で唯一の機械式シャッターを搭載したカメラで、およそ8年間製造されました。8年間も同じフィルムカメラが製造されるなんて、デジタルカメラと比べたら想像ができませんが、8年間とはいかなくとも、当時フィルムカメラは長い間、製造されることが当たり前の時代でした。それだけ、フィルムカメラというものが、完成された物ということかもしれません。
スペックは
・シャッター:機械式横走り布幕フォーカルプレーンシャッター
・シャッター速度:1秒〜1/1000秒とB
・露出計:TTL中央重点測光、針ではなくLED表示となっています。AEは無く、マニュアルのみの操作です。
・ファインダー:視野率約95%、倍率は約0.95倍修理内容
こちらのMXは、ご友人から譲り受けたカメラで、外観は綺麗なのでなんとか活躍させたいということで、修理を承りました。お客様よると、3つの不具合があるとのことです。
・シャッターを切るとミラーが戻らなくなる
・巻き戻しクランクが固くて裏蓋をあけるのに苦労する
・モルトは当然の事ながらボロボロその他にも、こちらでカメラを点検してみると、露出計のスイッチの入りがやや悪く、時々スイッチがONにならない時がありました。
まず、「シャッターを切るとミラーが戻らなくなる」とのことですが、ほぼすべてのシャッター速度でシャッターが切れておらず、シャッター幕が走り切っていないため、ミラーアップしてしまうようです。
こちらは、油やホコリが固着しているため、分解して清掃し、注油することで、シャッターは全速切れるようになりました。
MXは保管状態にもよりますが、こうした油やホコリの固着によってシャッターが全速切れないことが多い感じがします。また、シャッターが切れても、シャッター幕の走りが弱々しく、しっかり走っていないこともあります。
次に、「巻き戻しクランクが固くて裏蓋をあけるのに苦労する」ということですが、確認してみると、思っていた以上に巻き戻しクランクが固く、この状態では、クランク軸を引き上げるのも一苦労で裏蓋を開けるのは困難な状況です。
こちらは、巻き戻しクランクの軸がホコリなどにより、大変滑りが悪くなっている様子なので、クランク軸を分解して、清掃することで、スムーズな動作が出来るようにします。
次に、露出計のスイッチの入りが悪い箇所を修理します。
最初は上部のシャッターボタンを調べてみましたが、ここのスイッチの動きに関しては、特に問題が無い様子でした。
赤枠部分がスイッチのON/OFF部分
ちなみに、青丸はシャッター速度B、ASA100でトップカバーを開けた時の位置です。次に下部のスイッチのON/OFF箇所を調べました。
赤枠部分がスイッチのON/OFF部分
一見、問題無いように見えますが、確認してみると、赤枠部分のスイッチに不具合があるようです。
清掃してみましたが、状態はあまり変化がありませんので、この部分の部品を交換してみたところ、問題なく露出計のON/OFFができるようになり、前よりも、キビキビとスイッチが入るようになりました。この後はモルト交換を含め、各部を点検し、清掃、注油、シャッター速度調整、露出計調整などを行い、修理完了となります。