PENTAX MX
仕様
形式 35㎜フォーカルプレーンシャッター式一眼レフ ファインダー ペンタプリズム固定 シャッター 機械式ゴム布幕横走行フォーカルプレーン シャッタースピード B・1~1/1000秒 マウント Kマウント 測光方式 TTL中央部重点測光(GPD (ガリウムヒ素フォトダイオード))(後期形はSPC((シリコンフォトダイオード))) 露出制御 マニュアル 大きさ 幅135.5mm x 高さ82.5mm x 奥行49.5mm 重量 495g 発売年月 1976年(昭和51年)11月 発売価格 55,000円 修理内容
こちらのペンタックスMXは、下記のような不具合で修理依頼がありました。
・露出計不動
・シャッターのスリットが最後までスライドしない
・巻上げ表示窓からオレンジ色の指標が表示されない
・ワインダー、モータードライブ用巻取り軸蓋が噛合わず外れてしまう
下記は修理した内容となります。
ミラーアップ
シャッター幕軸の動きが悪く、ミラーアップしてしまいます。
シャッター幕軸については、注油を行いました。
また、シャッターリンケージ周りの動作も悪かったため、清掃および注油を行いました。
露出計
露出計不点灯の件は、電池蓋の腐食によるものでした。
電池蓋の腐食部分を取り除くことで通電し、現状、露出計は動作するようになっています。
シャッターのスリット
シャッターのスリットが最後までスライド(走行)しない現象についてですが、こちらは、シャッター幕が走り切らず、シャッター幕の金具部分が少し撮影枠に被ってしまう状態でした。
この不具合は、シャッター幕軸とシャッターに関連するリンケージの動きが悪いため、カメラを分解し、清掃および必要な箇所への注油を行い、シャッター幕は被らないようになりました。
巻上げ表示窓
巻上げ表示窓からオレンジ色の指標が見えない原因は、シャッターチャージの不具合によるものでした。
シャッター周りの修理を行なうことで、シャッターチャージは問題なく出来るようになり、オレンジ色の指標も問題なく動作するようになりました。
ワインダー、モータードライブ用巻取り軸蓋
こちらの蓋は、別の機種の蓋が取り付けられていたため、蓋が閉まらない状態でしたので、MXオリジナルの蓋を部品調達して取り付けています。
シャッタースピード表示板調整
ミラーボックスを取り出しての修理のため、ファインダー内のシャッタースピード表示板の調整を行っています。
スローガバナー
1秒と1/2秒については、シャッターを切った後、スローガバナーの戻りが悪いという不具合も見られました。こちらは調整を行うことで直りました。
シャッター速度調整
シャッター周りの修理を行なった後、測定器を使ってシャッター速度を測ったところ、シャッター速度にかなり狂いが生じていました。また、先幕と後幕との速度差がかなり大きく離れていました。
先幕と後幕の速度差が大きいため、一旦、先幕と後幕、両方の幕軸テンションをリセット(テンションが掛かっていないフリー状態)して、最初からテンション調整を行いました。
通常、幕軸のテンションのリセットは、シャッター速度が大きく狂っていたり、先幕と後幕の差がよほど大きくなければ行わない修理ですが、今回は、テンションリセットしないと調整できない状態だったため、その作業を行いました。
シャッター速度については、一からテンション調整を行ったところ、先幕と後幕の幕速差も少なくなり、1秒を除き、全ての速度において許容範囲の速度が出るようになりました。
1秒については、測定時に許容範囲内に収まる時もありますが、何度か測定して平均を見ると、わずかに速い速度にありました。しかしその値は、ほぼ許容範囲内に近い値が出ているため、今回はスローガバナーの部品交換等は行いませんでした。
1/1000秒については、やや遅い速度ですが、許容範囲の速度に収まっていましたので、特に常用しても問題は無いと判断しました。
主な修理内容は下記の通りです。
・ワインダー、モータードライブ用巻取り軸蓋部品調達取り付け
・通電不良修理(電池蓋腐食)
・スローガバナー(1秒と1/2秒)動作不良修理
・シャッター幕走行不良修理
・シャッター速度調整
・スローガバナー注油
・シャッター幕軸注油
・露出計調整
・シャッタースピード表示板調整
・劣化モルト交換
・ファインダー清掃
・フィルム室清掃
・外観清掃
こちらの記事を見て、お問い合わせいただいたお客様の同一機種のカメラ修理をお約束するものではありませんので、あらかじめご了承ください。