OLYMPUS OM-1 MD

今日はオリンパスOM-1 MDのフィルムカメラ修理をご紹介します。

OM-1は1972年、当時はM-1というネーミングで発売され、以来、OM-1 MDを経て、1979年のOM-1NまでOM-1のネーミングは続きます。

その後、電子シャッター化されたOM-2やOM-10などOMシリーズは継続されますが、OM-1は機械式シャッターのためなのか、そのスタイルの良さからなのか、40年以上経った今でも、人々に愛されるカメラとして、使われ続けています。

その人気の高さからでしょうか。
これから、修理して使いたいという方が多く、当店でも、依頼が多いカメラのひとつです。

お客様の中には、父親や祖父、曾祖父などから貰い受け、修理をして、現代で再びシャッターを切って、写真を撮られる方も、かなり多くいます。

また、当時、中学生や高校生だった頃に手に入れたOM-1をまた、あの時のように使いたいという方々も多くいます。

修理依頼される品は問題なく動作するものから、部分的には動作するもの、全く動作しないものなど様々ですが、多くのOM-1は修理すれば、再び、写真が撮れるようになります。

40年以上前のフィルムカメラを修理して写真を撮ると、デジタルカメラとは違った世界が広がりますね。

修理内容

こちらのOM-1 MDはお客様より下記のような不具合があるとのことです。

・シャッターは切れるが、スピードが変更できなくなった。
⇒ 油切れのため、清掃と注油を行いました。

・モルトにヨレががあるのが気になる。
⇒ 劣化したモルトは交換を行いました。

・ファインダーに大きなゴミがある。
⇒ 分解して、ファインダー清掃を行いました。

お客様からご指摘があった不具合以外に、カメラを操作していたところ、突然巻き上げができなくなりました。

こちらは、底蓋を開けて、カメラの底面を確認してみたところ、フィルム片がギアに噛んでいたため、取り除きました。

フィルム片

シャッター幕にピンホールが出ていましたので、修理を行ないました。

シャッター幕のピンホール
白い小さなところが、穴が開いているところです。

上記以外にも下記作業を行いました。

・シャッター速度調整
・露出計調整
・各部必要箇所への注油
・フィルム室内の清掃
・外観清掃

OM-1の露出計のズレについて

修理に出されたOM-1の露出計の指針は、ほぼ合っているものもありますが、多くのOM-1はズレていることが多いと思われます。

露出計の指針
ファインダーをのぞいて、指針がほぼ真ん中に来れば適正露出

指針ズレの原因は、単純に電池の電圧の違いによることもあります。
OM-1の当時は水銀電池(MR9)を利用しており、電圧は1.35Vでした。

現在、水銀電池は環境問題から、生産されておらず、入手できる電池は1.5Vのアルカリ電池や1.55Vの酸化銀電池がほとんです。

水銀電池(MR9)の互換電池
こちらは、アルカリ電池で電圧が1.5Vあります。625電池とも呼ばれています。

また、OM-1ユーザーは、電圧変換型の電池アダプターを利用して、酸化銀電池の1.55Vを1.35Vに変換して利用している方も多くいます。

電圧変換型の電池アダプターと酸化銀電池
この酸化銀電池はSR43と呼ばれています。

OM-1の露出計は、1.35Vで適正露出になるので、電圧が高い(1.5V)アルカリ電池を利用すると、露出計の指針は【+】寄りに振れます。その場合は、電圧変換して、1.35Vに戻すことで、適正露出になります。

または、露出計には負荷がかかりますが、1.5Vの電池で適正露出になるよう調整修理を行なうことで、適正露出にします。

露出計の針が【+】側に振れている場合は、電圧変換で解決する場合がありますが、【-】側に振れている場合は、修理、調整が必要になります。

もし、指針のズレが【-】側に大きい場合(絞り2段分や3段分など)でも、露出計の分解修理と調整で直る場合も多いので、もし、露出計の針は動くが、かなり【-】側にズレている場合でも、一度、ご相談ください。

オリンパスOM-1のカメラ修理のお問い合わせはこちら

オリンパスのカメラ修理一覧はこちら

これまでのカメラ修理ブログはこちら