ニコンFEは、絞り優先AE・電子制御シャッターを搭載したカメラです。
M90(1/90秒)とB(バルブ)はメカニカルシャッターとなっており、電池切れの時でも利用できます。
この記事を書いている時点で、発売からすでに46年の年月が経過していますが、まだまだ、魅力ある一台です。

修理内容

こちらのニコンFEは、「電池を替えても露出計の針が動きません。シャッタースピードをM90とB以外の速度に設定した時、どれも同じ速度(一瞬)で切れます。」とのことで、修理依頼がありました。

不具合の原因

Nikon FE フィルムカメラ修理
電池室破損

露出計が動作しなかったり、電子シャッターのスピードが変化しないのは、電池室の破損が原因でした。

Nikon FE フィルムカメラ修理
電池室破損


電池室が破損したことで、通電不良が生じ、露出計も電子シャッターも動作しない不具合が出ていました。

また、この破損により、電気が漏電してしまい、新品の電池を入れても、短い時間で電池がほぼ空になってしまっていました。

Nikon FE フィルムカメラ修理
電池室の部品

修理は、電池室の交換部品を用意し、部品交換を行いました。

Nikon FE フィルムカメラ修理
ボディシャーシとミラーボックス

ニコンFEの電池室の部品交換は、写真にある通り、ミラーボックス(前板)を取り外さないと、交換ができません。

ミラーボックス(前板)は、取り外すこともやや面倒ですが、実は、組み戻しの方がやっかいです。

ニコンFEには、大きく分けて、初期型と後期型(後期型は2種類あるようです)のモデルがあります。

初期型と後期型で、カメラの内部設計に変更があります。

修理したニコンFEは初期型のモデルですが、初期型は、後期型と比べて、ミラーボックス(前板)の組み戻しが少し面倒なモデルと感じます。

Nikon FE フィルムカメラ修理
二重巻上げ防止レバー(赤丸箇所)

ミラーボックスを組み戻すには、まずは、ボディ側とミラーボックス(前板)側をシャッターチャージした状態にします。

しかし、その状態では、写真にある二重巻上げ防止レバーが邪魔をして、ミラーボックスがうまく組み込めません。

そのため、ボディ側は、二重巻上げ防止レバーを逃がすため、さらに少しだけ2度目のシャッターチャージ動作を行い、途中で、シャッターチャージ状態が止まっている状態にして、二重巻上げ防止レバーを逃がす形を作ってから、ミラーボックス(前板)を組み込む必要があります。

カメラの構造を理解すれば、別の方法でも、ミラーボックス(前板)を組み込むこむことは可能かと思われますが、今回は、この方法で、組み込んでいます。

なお、二重巻上げ防止レバーは後期型から設計が大きく変更されている部品のひとつなので、ミラーボックス(前板)の組み込み手順が煩雑だったり、何かしら不具合が出やすい部品だったのかもしれません。

また、ミラーボックス(前板)を組み込んだ後も、FRE(摺動抵抗)の部品を正しく組み込まないと、ASA感度がうまく機能せず、露出計が正常に動作しませんので、このあたりも、少し面倒な部分と思います。

主な修理内容

  • 電池室破損修理
  • 電池室部品交換
  • シャッター速度調整
  • 露出計精度調整
  • ミラーボックス分解清掃
  • ファインダー分解清掃
  • ASAダイヤル摺動抵抗清掃
  • 劣化モルト交換
  • フィルム室清掃
  • 外装清掃
Nikon FE フィルムカメラ修理
仕様
型式電子制御式35mm一眼レフレックスカメラ
使用フィルムパトローネ入り35mmフィルム各種
画面サイズ24mm x 36mm
レンズマウントニコンFマウント
シャッター電子制御式上下走行式・メタルフォーカルプレンシャッター
シャッタースピードAUTO(オート)、1/1000~8秒
M90(1/90秒)とB(バルブ)はメカニカルシャッター
セルフタイマー内蔵、セット解除装置付
ファインダーアイレベル型、視野率93%
ファインダー内表示シャッタースピード、絞り(光学直視式)、露出指示
ファインダースクリーンスプリットマイクロ式(K型スクリーン)
中央部・・・・スプリット式3㎜Φ
外側リング・・・マイクロプリズム式1㎜巾の円 B型、E型に変換可能
ミラークイックリターン式
絞込みレバー式
巻き上げ一作動レバー式、巻上げ角35°、予備角30°
自動巻き上げモータードライブMD-12使用可能(三脚ねじ穴に取りつけ)
多重露出機構多重露出ツマミにより可能
フィルムカウンター自動復元順算式(S・0~36)
巻き戻しクランク方式、巻き戻し用ボタン自動復元
シンクロ接点X接点のみ(1/125秒以下で同調)
帆とシューコンタクト、シンクロターミナル(JIS・B型ねじ止め式)
レディライト内蔵
露出計TTL中央重点開放測光方式
 受光体・・・SPD(シリコンフォトダイオード)
 連動範囲・・・フィルム感度ASA100でF1.4レンズ使用の場合 EV1~EV18(f/1.4で1秒ーf/16で1/1000秒)
フィルム感度範囲ASA12ー4000
露出補正目盛+2EVーー2EV
露出記憶装置セルフタイマーレバー兼用
電源1.5V銀電池(G13相当品)2個(3V)使用
露出計電源スイッチ巻き上げレバーと連動
電池チェック使用限界電圧(約2.3V)以上あれば電池チェックランプ点灯
裏ぶた巻き戻しノブ引き上げにて開く(安全ロック付)、着脱可能、メモホルダー付
大きさ約142mm(幅) x 約89.5mm(高さ) x 57.5mm(奥行)(ボディのみ)
重量約590g(ボディのみ)
発売年月1978年(昭和53年)4月
発売価格69,000円(ボディのみ)、95,000円(50mm F1.8付)
この修理レビューの目的は、修理をご依頼していただいたお客様に向けての修理内容のご紹介となっております。
こちらの修理ブログを見て、お問い合わせいただいたお客様の同一機種のカメラの修理をお約束するものではありませんので、あらかじめご了承ください。