こちらのAI Nikkor 35mm F2.8Sは、レンズ内にカビが目立ち、ピントリングを操作すると、ヘリコイドがスカスカな状態のため、レンズの分解清掃とヘリコイドグリスの入れ替え修理です。
分解
レンズの分解を行います。
初めに、ゴムリング部分を外します。
経年の保管状態によっては、ゴムが切れやすくなっていることもあるため、丁寧にゆっくり外していきます。
距離リングを抑えているリングを外します。
距離リングに穴が開いている箇所があります。
Nikkorレンズの修理では、この穴によくねじがありますが、このレンズにはねじはありません。
リングが固い場合は、この穴やリングの周辺にアルコールなどを少量入れてから、木槌などで軽く叩くと、案外簡単に外れます。
フィルター枠になっているリングを外します。
リングの穴の部分にねじがありますので、このねじを外してから、リングを回して外します。
前玉のレンズを外します。
穴が2か所ありますので、カニ目で回すか、固くなければ、ゴムリングを使って外します。
外したレンズを分解して、清掃します。
距離リングを外し、ヘリコイドを抜きます。
ヘリコイドを抜いたら、古いグリスや汚れを除去し、新しいグリスを塗布します。
ヘリコイドを抜く際、無限遠の位置とヘリコイドが抜ける位置を罫書き(ケガキ)しておきます。
罫書きを忘れると、組み戻しの時に無限遠を出すのに難儀しますので、必ず忘れないようにします。
後ろ玉のレンズを外していきます。
マウントリングを外します。
3本のねじを外すと簡単に外れますが、絞り連動レバーと繋がっている部分があるため、状態を見ながらマウントリングを外します。
絞りリングが最大F値、最小F値を超えないようにストッパーリングがありますので、こちらを取り出します。
絞りリングを外します。
鏡胴には、絞りのクリック感を出すために、金属板がありますので、そこと絞りリングの金属板が当たる溝部分へグリスアップを行っておきます。
後ろ玉を外していきます。
カニ目部分を回すとリングが外れ、レンズが取り出せます。
リングを外すした後、レンズを下側に向けると、レンズは外れますが、レンズの前後が分からなくなる恐れがあるため、レンズは、レンズサッカーを用いて、一枚一枚外していきます。
外したレンズは、前後の位置を記録してから、清掃を行います。
レンズを戻す場合も、レンズサッカーを使い戻していきます。
レンズを戻す際、うまく入れていかないと、空気に押されて、うまくレンズが入っていきません。
無理にレンズを押し込むと、レンズが割れたり、欠けたりする場合があるため、慎重に戻していきます。
主な修理箇所
- レンズ分解清掃
- レンズヘリコイドグリス入れ替え
- 絞りリンググリス入れ替え
この修理レビューの目的は、修理をご依頼していただいたお客様に向けての修理内容のご紹介となっております。
こちらの修理ブログを見て、お問い合わせいただいたお客様の同一機種のカメラの修理をお約束するものではありませんので、あらかじめご了承ください。