愛称は『ジャスピンコニカ』
世界で初めてオートフォーカス(AF)機能を搭載したコンパクトカメラです。
こちらのコニカC35AFは、シャッターは切れるが、とても遅く、レンズを覗くとカビかチリのようなものが見えるということで、修理依頼がありました。
修理内容
シャッター
シャッターについては、測定器を使い、光量を3段階(快晴、曇り日陰、明るい室内)切り替えながら、露出の値を測りました。
測定結果としては、すべての光量に対して、適正露出の値を示しており、シャッターに不具合は見られませんでした。
お問い合わせにあった、「シャッターは切れるのですが、とても遅いです」と感じたのは、AF(オートフォーカス)動作開始から実際にシャッターが切れるまでに、少しタイムラグがあるためと思われます。
Konica C35 AFは、世界で初めてAF(オートフォーカス)機能を搭載したコンパクトカメラですが、そのAF性能は、現代のAF(オートフォーカス)のよう、シャッターボタンを押せば瞬時にピントが合うというものではなく、このシャッターが切れるまでの、少しのタイムラグは、Konica C35 AFでは、正常な動作となります。

レンズ
レンズのカビについては、レンズを取り出して目視し、カビが付着していることを確認しました。
カビは、レンズの前玉と後玉だけでなく、レンズ内部にもありますが、こちらのレンズは、かしめてあり(嵌め殺し)、レンズ内部にアクセスできないため、前玉と後玉のみの清掃となりました。
レンズに付着したカビを清掃しましたが、前玉のカビについては、レンズ硝材自体に食い込んでおり、完全にはカビを除去できませんでした。
ただし、実際に撮影をした場合、強い逆光でなければ、レンズのカビが写真に強く影響を及ぼすことは無いと思われます。

ASA感度切替えリング
フィルム感度設定を行うための、レンズ前面に設けられているASA感度切換えリングですが、リングの動きが悪く、感度の切換えが不可能な状態です。
こちらは、ASA感度切換えリングを分解して、ベアリングの調整を行い、リングは問題なく操作することができるようになりました。
ファインダー
ファインダーについては、ファインダーを覗くと、分解前の状態からも、カビや曇りが酷いことが分かり、とてもファインダーを覗いて撮影を行える状態ではありませんでした。
ファインダーについては、分解を行い、一部の合わせレンズは取り出して、すべてのレンズの清掃を行いました。
清掃後、ファインダーはかなりクリアになりましたが、一部のレンズ(覗く側)は、レンズ硝材自体が腐食してしまっているため、完全には、汚れを除去できませんでした。
ファインダーについては、順光であれば、汚れは目立ちませんが、逆光の場合、汚れが少し目立ちます。

モルトプレーン
フィルム室に貼られている、遮光材(モルト)の劣化が酷く、その役割を果たしていない状態です。
モルトは経年により加水分解して劣化します。
劣化したモルトは、ボロボロになり、フィルム室などに入り込み、フィルムに付着すると、その部分が未露光となります。
劣化したモルトについては、除去、清掃を行い、新しいモルトに貼り換えを行いました。

※Konica C35 AFについては、基本的に修理は受け付けておりませんので、あらかじめご了承ください。
この修理レビューの目的は、修理をご依頼していただいたお客様に向けての修理内容のご紹介となっております。
こちらの修理ブログを見て、お問い合わせいただいたお客様の同一機種のカメラの修理をお約束するものではありませんので、あらかじめご了承ください。